日本社会の変化「まだまだその途中」伊藤詩織さん会見7月20日(本文3)
日本の社会を変えられた実感はあるのか
日刊スポーツ:今、逆に変わりましたかって聞かれたので、僕は変わったところがあったと思うんで、それをお伝えしてもいいですかね。詩織さんと現場でお会いしたときに、例えばフラワーデモとか、よかったら取材に来てくださいって言われて伺ったこともあるんですけれども、そのときやっぱりフラワーデモの取材に来る人の数も少なかったし、やっぱり取材で僕が書いた原稿、僕は普通にただレポートしただけなのにやっぱりすごいバッシングみたいなのが僕のところにも来たので。でもそれが民事に勝った辺りから、勝たれたっていうか、僕が原稿書いてもそういうのが来なくなったし、取材に集まる人の数もすごくやっぱり増えた、たくさん。だからそういうのがやっぱり個人的には変わったかなっていう思いは、取材している中ではありますけども。 ただ、ジャーナリストとして、詩織さんがやっぱり世の中を、例えばご自身が声を上げられて#MeToo運動などとも絡めて変わってきたってお話しされましたけども、やっぱり実感はありましたかね。動いてみて、日本の社会のそういうことに対して自分が変えられた、寄与できたっていう実感はあるんですかね。 伊藤:まだまだその途中だと思います。そこに私がどれくらい加担したのか分からないですけど、まだまだ、まだまだだと思います。これからもっともっとこういったことに対して疑問であったり、やっぱり目を向けていかないといけないと思いますし。なので、それは1人ではできることではないので、こうやって一緒に疑問をぶつけていただくことは本当に重要なことだと思うので、これからまだまだ、私がここに、前に立って話さなくてもこの問題が、1つ1つに光が当たることを願っています。ありがとうございます。 司会:南さん、どうぞ。
今のメディアの現状をどう考えているのか
朝日新聞:朝日新聞の南です。この事件、詩織さんが先ほど、冒頭言われたように『週刊新潮』の田中さんの優れたジャーナリズムによって始まって、その後、この会見場にも来ている多くの記者の取材とか記事に後押しされた面っていうのもあると思うんですが、一方で詩織さんがブラックボックスと指摘された捜査機関の対応の部分というのは、田中さんの記事以外では、多くの報道機関ではまだ十分解明が進んでない状況があると思います。そのことが裁判の反訴部分の対応とか、いろんなところにも影響を及ぼしているんではないかなというところもあろうかと思うんですが、今のメディアの現状について、詩織さん、どう考えられているかというところと、これからジャーナリストとして歩みを進めていく中で、どういうジャーナリストを目指していきたいか、その2点をお願いします。 伊藤:本当におっしゃっていただいたとおり、いったいどういった理由で逮捕状が止められてしまったのかであったり、そのほかも、検察の捜査中に山口氏が日本から出ていってしまった経緯も笹川財団というところがサポートしていたであったり、それが内閣からのっていう、なんでしょう、whistleblower、なんだっけ、日本語で。 男性:内部通報。 伊藤:内部通告? 男性:内部通報。 伊藤:内部通報で分かったこと。ただ、そこで止まってしまったんですね。やはり本当に背景に何があったのかっていう、決めた方々にはなかなか私からも、こうやって問いただすことはできるけど、直接いくことっていうのはすごくやっぱり限定されてしまって、中村格さんに対してはそれを行ったんですけど、それでもお話が、やっぱり伺うことができなかったっていう点で、きっとこの中に、ここに来てくださる方は分からないですが、もっともっとそういった方々に近くて質問を向けられるジャーナリストの方はいらっしゃると思うんですよね。その方々に対してやっぱり本当は、今どういったことがあるのか、やはりそれは、その質問を向けられている方に対しても、なんでしょう、説明をする時間、言葉を与えるっていうこと、その人のベネフィットにもなることだと思うんですよね、もし言うことがあるのであれば。そういったところをやはりジャーナリズムの中で問いただしていく、聞いていく、その方の意見を発信するっていうのはすごく重要な仕事だと思うので、それがやはりまだなされていない部分があるっていうのはすごく残念なことですし。