部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
2019年4月1日にスタートした働き方改革(中小企業は2020年スタート)。残業時間の規制や有給休暇取得の義務化の影響もあり、長時間労働者の割合は減少傾向にある。若い人材の確保のためにも、企業にとって残業しない・させない文化の定着は不可欠だ。 【画像】「まずはやってみろ」は、今の時代は避けるべきだ しかし、この流れに過剰に迎合する現場もある。「仕事が終わっていないのに定時で帰る」と言い出す部下がいるのだ。管理部門も「残業時間」に神経をとがらせている。上司は、この問題にどう向き合えばいいのだろう? そこで今回は、仕事が終わっていないのに帰ろうとする部下に、どう向き合えばいいのか解説する。組織のマネジメントに悩む多くのリーダーや管理部門の方々に、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
成果と残業削減の対立構造
現場に入ってコンサルティングしていると、実際にこのようなシーンに直面することがある。この問題は「成果に対して責任を持つ者」と「時間外労働削減に責任を持つ者」との対立からくるものと私は受け止めている。 つまり「とにかく仕事をやり切りなさい」と指示する上司と、「とにかく残業せず帰りなさい」と指示する管理部門との対立構造だ。 「成果」と「残業ゼロ」、そして「ワークライフバランス」。この3つは本来、対立するものではない。むしろ高い成果を上げている人ほど残業をしないものだ。家庭や余暇の充実が仕事への活力を生むからだ。
「成果軽視」の危険性
しかし残業ゼロとワークライフバランスだけを追求すると、成果が置き去りになる危険性がある。この“置き去り度”は放置するとエスカレートし、「ノルマ主義は若者の心を蝕む」という風潮にまで発展する。最悪の場合、 「目標なんて達成しないほうがいい」 「プレッシャーをかけて若者が離職したほうがダメージが大きい」 とまで言い出す上層部も出てくる。このままいくと、今問題となっている「ゆるブラ(ゆるいブラック)」組織へまっしぐらである。 優秀な若者ほど、自分が成長できる職場で働くことを希望している。成果を置き去りにした「ワークライフバランス」の追求はやめよう。