部下に「仕事は終わってないですが定時なので帰ります」と言われたら、どう答える?
まず上司がすべきことは何か?
どのようにしたら定時までに仕事を終えることができるのか。そのノウハウや技術を伝えるのもいいが、その前に上司は仕事に対する姿勢をしっかり伝えよう。 今回の場合は「三面等価の法則」だ。仕事には、必ず責任と権限と義務が同じ分だけある、という法則である。 「責任」とは、任された職務を全うすること。「権限」とは、職務を全うするためにリソースを活用する権利のこと。そして「義務」とは、仕事の進捗状況を報告・説明する義務のこと(説明責任とも言う)。 この「責任と権限と義務」を常に心掛けてもらうのだ。具体的には、以下のように言ってみてはどうか? 「仕事を任された以上は、その仕事をやり切る責任がある」 「その仕事をやり切るために、分からないことは先輩や上司に相談する権限がある」 「その仕事がやり切れるかどうか、進捗状況を報告する義務がある」 慣れない仕事であれば、定時内にやり切れないこともあるだろう。 しかし、先輩や上司に相談もせず、進捗状況も報告せずに「定時になったから帰ります」と言うのは無責任すぎる。これはハッキリと伝えるべきだ。
「見通し」と「認識合わせ」を意識しよう
一度言っただけで、人の価値観、考え方が変わることはない。何度も啓蒙(けいもう)することで、部下の考えは変わっていく。 組織のメンバーである以上、任された仕事は完遂する責任がある。もし自分の今の力でできないのであれば、組織の誰かに協力を仰がなければいけない。そういった判断も一つ一つ上司に報告する義務がある。 こういう姿勢になってから、作業効率を高めるコツやスキルを伝授していこう。依頼した仕事がどれぐらいの時間で終わりそうか? はじめに見通しを立てさせるのだ。
仮説を立てるクセをつけさせる
「まず、手を動かしてみます」 「自分なりに、やってみます」 という姿勢はよくない。一つ一つに仮説を立てるクセをつけさせるのだ。部下が立てた見通しが甘いのであれば、 「そのリスト情報はどこから持ってくるの?」 「現状分析をせずに資料作成するのはよくないよ」 このようにアドバイスしよう。仕事を始める前に「認識のズレ」をなくしておくのだ。 「ありがとうございます。こうすれば16時ぐらいに終わりそうですね。いったん15時に中間報告します」 実際に部下が作業を始めたら、本当に見通し(仮説)を立てた通りになるのか、後で「気付き」を共有してフィードバックしよう。そうすることで、成長スピードも速くなるはずだ。