残酷な戦争を童話で描いた野坂昭如の "ファンタジー" 朗読と音楽で表現『イノチノコト 忘れてはいけない物語』
■オリジナルの音楽に乗せて このファンタジーの中で、象使いの小父さんは餓死させるように命じられましたが、こっそりと食事を与えてしまうのです。でもばれてしまう。いよいよ殺害を迫られた時、小父さんは象を連れ出して郊外の山の中に匿った……そんな物語なのです。2人の朗読に音楽が乗ってきます。ピアノとバンドネオン、それからコントバスです。 (演奏と朗読) サーカスから動物園とせまい檻の中でばかり暮らして来た象は、はじめ元牧場の、その広さにとまどっていましたが、なれてしまうと四方八方に走りまわり、自分のスピードにびっくりしました、今まではただのそのそ歩くだけでしたから。 春めいて来ると、あたらしい木の芽や、若草など、乾藁とくらべものにならない御馳走が一面に用意され、鳥の声だって動物園で耳にしたのとちがい、一段と澄んでいます。象は、ただ無邪気にはしゃいでいたけど、小父さんは常に四方に眼をくばり、だって、日本の山奥に放し飼いの象がいるなんて分かったら、いくら非常時だって、とんでもない騒ぎになります。 「放し飼いの象」が誕生してしまった……まさにファンタジーです。実際にはなかったことですが。音楽も軽快で、「いくら非常時だって、とんでもない騒ぎになります」なんて感じで語られます。曲は全部、オリジナルで創作したものです。作曲したのは、ピアノを担当した矢田イサオさんです。 【矢田イサオ(作曲・ピアノ)】 長崎市出身。大学在学中ニューオリンズ・ジャズフェスティバルに出演。第7回イムズ・ジャズバンドコンテストにてグランプリ。九州各地のCM、イメージソング、よさこい楽曲の制作や、CMナレーション等で活動。現在、「カワムラ☆バンド」のピアニストとして、全国各地で精力的に活動中。 バンドネオンの川波幸恵さんは、今回この番組にも出ていただきましたけど、素晴らしかったです。アコーディオンのような楽器で、タンゴの伴奏楽器として知られています。
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