月60件超の請求書をAppSheetで自動作成 岐阜の製陶会社3代目が進めたDX
河口さんが変えたかった3つの課題
河口さんが製造業のシステムエンジニア(SE)などを経て、2023年1月に山喜製陶に戻ってきました。このとき、大きく分けて3つの課題に気づきました。 1.受注・出荷状況を把握できない そもそもオンラインでつながっているパソコンが1台しかなく、受注状況をまとめたエクセルが従業員に共有されておらず、生産計画を立てられない状況にありました。出荷状況についても手書きの納品書から把握するしかありませんでした。 さらに困ったことに、同じ製品を「桜茶碗」と書いていたり「飯碗_桜」と書いているなど商品の表記揺れが散見されました。そのため同じ製品を指しているのに違う表記でエクセルに入力されているので集計に支障が出ていました。 そもそも、後で見直した時に、同じ商品なのか違う商品なのかもわからない状況になっていました(たとえば「水玉茶碗」と「大水玉茶碗」は別商品など)。 2.入力作業が属人化 受注・出荷・請求書発行作業は、事務担当者一人の仕事です。もし、この担当者が病気で倒れてしまったら、請求書の作成が遅れてしまうというリスクを常に抱えていました。 3.原価の把握が難しい このほか、昔からの慣習で原価管理がされていなかったといいます。
受注から請求書発行までを業務アプリで一元化
河口さんは無料で作れるAppSheetをつかって受注や出荷、請求書発行の作業を楽にする業務アプリをつくることにしました。 FAXで届く注文書、手書きの納品書をパソコンに入力すると、AppSheetに取り込んだ商品情報・顧客情報・商品の単価一覧のデータベースを参照し、自動で請求書を印刷もしくはメール送信する仕組みを構築しました。 具体的には、業務アプリの受注一覧画面では、いつ・何が・何個注文されて・受注残がいくつ残っているかが一目でわかる。左の顧客名をクリックすればその顧客の受注のみが表示されます。 受注明細に入力フォームでは、入力ミスや表記の揺れをなくすため商品名はその顧客の商品のみがプルダウンで表示されるように工夫し、受注ID(受注日付など)も自動で入力されるよう設計するなどとにかく入力を最低限にすることに注力しました。 請求書発行でも、出荷情報を日々登録するだけで請求書の元データができている状態になるようにし、請求書発行、メール送信もボタン一つで完了する工夫をしました。