月60件超の請求書をAppSheetで自動作成 岐阜の製陶会社3代目が進めたDX
みずなみ焼・美濃焼を手がける「山喜製陶」(岐阜県瑞浪市)は毎月、数十社との取引のなかで、毎月60枚以上を超える請求書を2~3日かけて作ってきました。3代目の後継者として2023年に戻ってきた河口尚大さんは、ノーコードツールAppSheetで一部自動化し、作業時間を半分以下に削減しました。はじめは「難しい」と感じていた職人に何度も話を聞き、改善するなかで、協力してくれる人が増えてきました。今後、同業者にも使ってもらいたいと考えています。 【写真特集】事業再建や売上7倍増を実現 DXに成功した中小企業を紹介
「どんな相談にも乗る」が強みの山喜製陶
山喜製陶は、社員・パート合わせて約30人が働く、みずなみ焼・美濃焼の陶器製作会社です。飲食店向けの割れにくい食器類を卸しているほか、全国雑貨チェーン店からも陶器製作を請け負っています。 河口さんは「サンプルを早く出せる点や、作りたい色の再現など企画段階から難しい相談にも乗れるところに強みがあります」と話します。 最近では、お笑い芸人グループ「ギャンブル四兄弟」の粗品さんが、自身のYouTubeで、11月に横浜で開催するイベントで販売するチンチロ丼のグッズ製作に協力したとして紹介していました。 このときもサンプルだけで100以上作って粗品さんたちと相談しながら完成させたといいます。
毎月60枚を超える注文書 請求書作成は属人化
山喜製陶は毎月、数十社から60枚を超える注文書が届きます。商品数にすると300点以上。1回の注文に対して分納が多いのが特徴です。 そのため、いま何個作っており、いつまでに何個納品すればいいのか、受注残数(たとえば100個の注文に対し、60個出荷したら残り40個注文が残っている)など現状把握・情報共有が大切になります。 山喜製陶での業務の流れは以下の通りです。 FAXで注文が届くと、注文書の記載内容をエクセルに入力していきます。逆に、出荷時には、納品書を手書きで作成し、出荷個数をエクセルに入力して受注残を計算します。 そのうえで、請求書作成の時に、納品書と紙で管理している単価表を1枚1枚、1製品ずつ目視で突き合わせながら請求書を作成し、発送します。 職人たちも紙の生産日報を確認しつつ、日報だけではわからない場合は、いま何個作っているのか、担当者に尋ねる必要があり、そのたびに職人の手が止まってしまうことがありました。