「自分が幸せかどうかを見つめて」──トランス女性として活躍するプロデューサーから、次世代へのメッセージ #性のギモン
「クローゼットに居続ける人が多い日本社会ってなんだろうと考えると、一つには、個人的なことをおおやけに言わない傾向があると思います。セクシュアルオリエンテーション(性的指向)はセンシティブなことだから、それを言いたくないという気持ちも分かる。もう一つは、カミングアウトしたときのメリットより、リスクのほうが大きい。今は、社会制度を利用するとか、法体系のなかで権利を享受するということ以外にメリットがないから、言わないんだと思います。 カミングアウトしてもまったくデメリットがないなと思えるようになったら、変わるんじゃないでしょうか。つい先日も、フランスで初めてゲイを公表している首相が誕生しましたけど、国のリーダーがそうなんだったら、公表してもまったくリスクないじゃん、ってなりますよね。でも残念ながら、日本では女性リーダーすら誕生していないわけで、それはこの社会の閉塞感そのものだと私は思います。時間が必要なのでしょう」 谷生俊美(たにお・としみ) 1973年生まれ。東京外国語大学大学院博士前期課程修了後、日本テレビに入社。カイロ支局長などを経て、2012年に編成局編成部へ異動し「金曜ロードショー」「映画天国」のプロデューサーに。現在は、映画プロデューサーとして『竜とそばかすの姫』(細田守監督)や『屋根裏のラジャー』(百瀬義行監督)などを手がける。昨年、自らの半生を綴った著書『パパだけど、ママになりました 女性として生きることを決めた「パパ」が、「ママ」として贈る最愛のわが子への手紙』を刊行した。 --- 「#性のギモン」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。人間関係やからだの悩みなど、さまざまな視点から「性」について、そして性教育について取り上げます。子どもから大人まで関わる性のこと、一緒に考えてみませんか。