「自分が幸せかどうかを見つめて」──トランス女性として活躍するプロデューサーから、次世代へのメッセージ #性のギモン
「ターニャとか白川のことだよね」 LGBTQという記号ではなく、職場の仲間として
近年、ニュースでトランスジェンダーが取り上げられることが増えた。昨年6月に成立した「LGBT理解増進法」や、昨年10月に最高裁が「戸籍上の性別変更に生殖能力をなくす手術を必要とする法律の規定は違憲である」と判断したことなどによる。こうした動きは、性的マイノリティーであることによって受けてきた不利益や不平等を解消してほしいという声の表れだ。一方、そうした動きに対して、社会のさまざまな場面で軋轢(あつれき)が生じる恐れがあるとして、反対する声が上がる。 谷生さんも運動や理論が複雑化していることは知っているが、世の中に伝えたいメッセージは一貫して「誰かのために生きているわけじゃない。自分の幸せを考えればいいの」ということだ。 「よく、マツコ(・デラックス)さんやミッツ(・マングローブ)さんみたいな人がテレビであれだけ活躍しているんだから、日本はLGBTQに寛容な国なんだと言われるじゃないですか。ある面ではそうだと思います。ただ、マツコさん自身もおっしゃっていたことですが、テレビタレントは記号的な存在だから受け入れられるけど、実際には『身内に(トランスジェンダーやドラァグクイーンが)いたら困る』という感情を持つ人がたくさんいるわけです。 そのなかで、私が家族の話をするのは、私という存在が身内にいて、みんな幸せにやってますよということを伝えたいから。そりゃあ、思うところはあると思います。例えばうちの母が、私がこういう生き方を選んだことを両手をあげて歓迎しているかといえば、そうじゃないですよ。だけど受け入れてくれている。それで私はハッピーなんです」 谷生さんは2018年10月、報道番組「news zero」に、ニュースにコメントするパートナーとして出演した。報道記者として12年、編成で6年の経験と見識を買われての起用だった。ロングヘアにワンピース姿で、視聴者に「トランスジェンダー女性です」と自己紹介した。