【台湾・花蓮】アートと絶景を満喫! 花蓮跳浪芸術祭の展示スポットを巡る旅へ
台湾東部最大の都市である花蓮は、山と海に囲まれ、大自然に抱かれた土地として知られています。台湾を代表する観光地である太魯閣峡谷もあり、以前は国内外から大勢の観光客が訪れていました。 【画像】台湾旅行は花蓮へ!開催中の芸術祭の展示スポットを巡り、アートと絶景を満喫 しかし、2024年4月3日にマグニチュード7.2規模の大地震が発生したことにより状況は一変。市内のビルが倒壊した場面は海外でも大きく報道され、花蓮全域が壊滅的な被害を受けたという印象が広がりました。実際のところ、被害はあったものの、それは局地的なものだったため、現在、市内やその周辺地域は落ち着きを取り戻しています。 残念ながら、太魯閣峡谷のハイキングコースは長期閉鎖となっていますが、見どころはほかにもたくさんあります。2025年1月5日までは第3回を迎える「PALAFANG 花蓮跳浪藝術節ー星球爆裂觀測站」が開催されており、アートと自然に触れながらの旅を楽しむことができます。 今回は、芸術祭の拠点をいくつか紹介しながら、花蓮の「今」をお伝えしたいと思います。
まずは花蓮市内にある海辺のアートスポットへ
「PALAFANG 花蓮跳浪藝術節ー星球爆裂觀測站」のメイン会場になっているのは、海辺に近い「花蓮縣石雕博物館」と「花蓮美術館」の2ヵ所です。 花蓮縣石雕博物館は台湾初の石彫刻をテーマにした博物館であり、同じ敷地内には2年にわたるリニューアル工事を経て、2024年2月に再オープンした花蓮美術館もあります。 今回の芸術祭のテーマはずばり「地震」。頻繁に余震が起こる中、人々がどのように郷土と向き合い、暮らしていたのかを主題とし、メイン会場では11組のアーティストが土地との共生をテーマにした作品を手がけています。そのほか、8つのサテライト展示場があります。 キュレーターは、アミ族のNakaw Putunさんをはじめとした4人。その中には地震研究の専門家である馬國鳳さんも含まれています。「MiDAS米崙地震研究ワークステーション」と協力し合い、詳細な地震データを用いて、科学とアートの融合を試みています。 花蓮縣石雕博物館の入り口には、アミ族のアーティスト、Iyo Kacawさんによる大型インスタレーション作品「生命的穿透力」が展示されています。太い蔓が地面から伸びていく様子を表現した作品には、「地震や台風が発生しても、この土地に根を張って生きていく」という強い意志が込められています。 館内に入ると目に飛び込んでくるのは、牛の化石をモチーフにした考生物学の発掘現場のような作品。これは涂維政さんによる「地震博物館」という作品で、「地震が発生するのは大地の下で眠る牛が身を翻すから」という伝説に基づいて作り上げられています。 そのほか、ブヌン族の若手芸術家であるAli Istandaさんによる、大ウナギ伝説をモチーフにした版画作品「山,與山」や、盧俊翰さんによる地震後の山の様子をパッチワーク風に描いた「地鳴後滄桑」などの作品もあります。 一方、花蓮美術館には地震後の花蓮の様子をリアルに伝える作品が展示されています。一つは元報道カメラマンの鍾順龍さんと郷土史研究家の莊慕華さんによる写真で、もう一つは公共テレビ「公視」のドキュメンタリー番組「我們的島」です。こちらも見応えがある作品です。