世界が注目する建築家・石上純也の代表作10選。型破りなデザインの魅力とは?水庭から洞窟レストラン、湖に浸かった美術館まで。
世界の建築シーンで活躍し続ける気鋭の建築家・石上純也(いしがみ・じゅんや)さんをご存知でしょうか?洞窟のようなレストランや湖に浸かった美術館など、既成概念にとらわれない大胆なアプローチで建築と自然が織り混ざる空間をつくり出し、国内外から注目を集める建築家です。今回はその型破りでユニークな発想で生み出された建築や家具の数々をご紹介します。 【写真集】世界が注目する建築家・石上純也のユニークな代表作10選
建築家・石上純也さんとは?
1974年神奈川県厚木市生まれ。東京藝術大学大学院修士課程を修了後、妹島和世建築設計事務所を経て、2004年に石上純也建築設計事務所を設立しました。 2007年に東京都現代美術館で開催された展覧会にて、金属でできた重さ約1tの風船《 四角いふうせん 》の展示で注目を集め、2009年には史上最年少で日本建築学会賞作品賞に輝きました。 その後も国内外で様々なプロジェクトに取り組み、世界的な建築賞を数多く受賞しています。
【1】神奈川工科大学 KAIT工房/神奈川県厚木市
まずご紹介するのは、石上さんが独立後に初めて設計した建築の実作「神奈川工科大学 KAIT工房」。学生たちが気軽にものづくりの楽しさを体験できる場として計画された建築です。 無数の柱が林立する空間はまるで森のよう。トップライトから落ちる光は木漏れ日を思わせます。 約2,000㎡もの大空間を壁ではなく柱で区切り、境界線の曖昧な新しい空間体験を生み出したことが高く評価され、日本建築学会賞などの数々の賞を受賞しました。 一見ランダムに見える柱の配置は、このプロジェクトのためにつくられた専用のCAD(コンピュータ上で製図を行うためのツール)を用いて、位置や向き、プロポーションまで入念に調整されたもの。なんと305本にものぼる鉄骨柱はひとつひとつがそれぞれ違った形状なのだそう。 所在地:神奈川県厚木市三田
【2】神奈川工科大学 KAIT広場/神奈川県厚木市
学生たちが好きな場所に腰掛けたり寝転んだり、思い思いに過ごす場として、「KAIT工房」の隣につくられた約4,000㎡の広場。工房とは打って変わって、こちらには一切柱がありません。宙に浮かぶような屋根が特徴的な空間です。 実は、屋根に開いたすべての開口にガラスは入っていません。晴れの日は移りゆく光の濃淡を、雨の日は雨風で霞む景色と音を。時間や気候の変化を感じられるように、あえてオープンエアなつくりにしているのです。 ちなみに床面には、車道の舗装に使われる透水性アスファルトが油分を取った状態で敷かれており、雨天でもドライな状態が保たれる設計。寝転んでも快適なように配慮がなされています。 所在地:神奈川県厚木市三田