インドネシア戦では圧勝も「完全アウェー」の中国戦はどうなる 日本代表「自慢の左サイド」は“諸刃の剣”
10月19日(火)21時より、日本代表は2026年北中米W杯のアジア3次予選グループC・第6節で中国と対戦する。会場となる廈門(アモイ)市は福建省南東部の台湾海峡に面した港湾都市で、日本が試合をするのは今回が初めてとなる。【六川亨/サッカージャーナリスト】 【写真をみる】日本代表「自慢の左サイド」 “天才的”なポジショニングを見せた選手は? ***
南シナ海に浮かぶ島にも6万人を収容するスタジアムがあり、すでに入場券は完売とのこと。日本は15日のインドネシア戦に続き、6万人近いサポーターで埋まる完全アウェーでの試合になりそうだ。 そのインドネシア戦だが、今予選を通じて初めて相手にゴールを奪われる危機に直面した。前半9分、ロングパスからのカウンターで1トップのラグナー・オラットマングーンに板倉滉がかわされ独走を許した。 日本にとってラッキーだったのは、オラットマングーンがシュートの直前にドリブルのコースを左に変えて左足シュートに切り替えたことだ。これでGK鈴木彩艶はシュートを打ってくるタイミングを計れたため、躊躇うことなく飛び出して決定的なシュートをブロックした。 決定機を阻止したGK鈴木のファインプレーと言っていい。彼はこのプレー以外にも、スルーパスに飛び出して相手より先にキャッチしたり、前半終了間際にはヤコブ・サユリのシュートをパンチングで右CKに逃れたりするなどプレーの判断スピードが早くなり、安定感が増したと思った。 ところが後半12分、ジャスティン・ハブナーの右CKに飛び出したものの、両手キャッチはボールをつかみきれずに落としてしまう。失点にはいたらなかったが、GKは1つのミスも許されず、ビッグセーブをして当り前と思われるポジションでもある。チームメイトの信頼を得るためにも90分間安定したプレーを心がけて欲しい。
日本の左サイドは「諸刃の剣」
インドネシアは前半9分だけでなく、14分にはヤコブ・サユリが右サイドを突破してクロスを送り、逆サイドでラファエル・ストライクが飛び込む「あわや」のシーンも作った。日本ボールの時は5BKで守備を固めるものの、決して0-0のドロー狙いではなくカウンターから積極的にゴールを狙いに来た。 この混乱はCBのセンターに入る谷口彰悟の負傷離脱により、本来は右CBの板倉がセンターに入ったことにより意思の疎通を欠いたと思われがちだ。しかし実際は、左CB町田浩樹の攻め上がった後の背後のスペースをインドネシアのシン・テヨン監督は狙ってきたと見ていいだろう。 インドネシア戦に限らず日本の攻撃は左サイドに比重が偏りがちだ。町田の前にはボランチながらここ数試合は攻撃面で結果を出している守田英正とウイングバックの三苫薫がいる。さらにその前には鎌田大地か南野拓実が控えている。 このため右サイドの板倉(インドネシア戦では橋岡大樹)や堂安律に比べて(久保建英は右サイドに固執せず自由に動く)、左サイドは厚みのある攻撃を仕掛けられる反面、カウンターを受けるリスクも高い。 それを理解しているから三苫はボールロスト後の守備への切り替えは素早いし、プレスバックも含めて最終ラインまで守備に加わることもある。日本にとって左サイドは「諸刃の剣」であり、オーストラリア戦のOGも同サイドからのクロスだったことを考えれば、中国の狙いも自ずと明らかだろう。