インドネシア戦では圧勝も「完全アウェー」の中国戦はどうなる 日本代表「自慢の左サイド」は“諸刃の剣”
重要なのは先制点
「5BKの2ラインによる堅固な守備で日本の攻撃をブロックし、マイボールになったら町田の背後のスペースを突いてCB板倉をおびき出しフィニッシュ」という方程式が目に浮かぶのだ。 それを阻止するためにも、やはり先制点は重要になる。インドネシア戦では前半35分に町田の攻め上がりから中央の守田を経由したタテパスで鎌田が左サイドを抜け出し、相手のOGにつなげた。裏を返せば日本の「得点パターン」でもある。 鎌田は前半40分にも芸術的なスルーパスで南野のゴールを演出した。「天才的」とも言えるそのポジショニングは、味方のためにスペースを作ったり、相手のスペースを巧みに消したりと、ボールを保持していなくても日本の攻撃にアクセントをつける意味で希有な戦力である。 前シーズンは所属するラツィオで出番に恵まれず、コンディションもベストとは言えなかった。移籍の噂があった今年1月のアジアカップと、3月の北朝鮮との試合では招集が見送られた。しかしクリスタル・パレスへ移籍し、フランクフルト時代の恩師オリヴァー・グラスナー監督の下では出場機会を増やして復活の兆しを見せつつある。
森保監督の采配は?
インドネシア戦では、鎌田と入れ替わるように高い位置でプレーする守田が相手GKのキックミスから3点目を奪い、交代出場の菅原由勢も“意外性に富んだ”ドリブル突破から4点目を決めた。どこからでも点の取れる森保ジャパンと言える。 しかし不安がないわけではない。ゴールこそ奪ったものの、それ以外にまったく存在感を示せなかった南野と、ドリブルでほとんど仕掛けることのなかった堂安の右サイドの人選である。 やはり南野は左サイドのほうがプレーの選択肢が広がるようだし、右サイドのスタメンには久保を起用したほうが攻撃の幅も広がるのではないだろうか。堂安は、今回の予選で意図的に手を抜いていない限り、カタールW杯と同様、後半のジョーカーとして起用したほうが生きる気がする。 中国戦は練習時間が2日しか取れないため、森保一監督もターンオーバーを採用する可能性が高い。果たしてインドネシア戦で出番のなかった古橋亨梧、久保、中村敬斗、田中碧らがスタメンに名を連ねるのか。指揮官の起用法にも注目したい。
六川亨(ろくかわ・とおる) 1957年、東京都生まれ。法政大学卒。「サッカーダイジェスト」の記者・編集長としてW杯、EURO、南米選手権などを取材。その後「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。 デイリー新潮編集部
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