なぜ日本企業から「大物経営者」が出なくなったのか…この国をダメにした「4つの原因」
「西洋化」は「必要悪」であった
「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする」という言葉は、明治維新を象徴するものの一つである。「鹿鳴館」も同様だろう。 【写真】「根回し」の何が悪いのか… 1603年に江戸幕府が開かれ、1868年の明治維新に至るまでの265年間の江戸時代、さらには、2021年2月28日公開「1400年の歴史、世界最古の会社が日本に存在している…!」で述べた、少なくとも1400年前に遡る悠久の歴史の中で培われた日本文化が西洋文化よりも劣っていたとは思えない。 だが、大航海時代以来、多くの国々を植民地化し残虐な支配を実行可能にした強大な軍事力や、一足先に産業革命を実現した欧米の工業力に日本が太刀打ちできなかったのは事実である。 実際、幕末期の1840年、清が英国から言いがかりをつけられアヘン戦争が始まった。その結果、1842年に南京条約を締結。香港島が英国に割譲され、英国の直轄植民地となった。 清の人々を麻薬漬けにして、汚い金をがっぽり稼いでいた英国が、「清朝が国民を守るために麻薬取り締まりを行う」という至極まっとうな政策に言いがかりをつけ、こともあろうに彼らの領土の一部を奪ってしまったのだ。 また、第2次アヘン戦争とも呼ばれる1856年から1860年にかけてのアロー号戦争においては、英国とフランスの連合軍が中国を蹂躙した。この戦争で清は再び敗北。不平等条約である天津条約(英国・フランス、および仲介役となったロシア、米国の4ヶ国との個別の条約)や北京条約を締結させられ、アヘン輸入の合法化まで押し付けられたのだ。
「欧米化」によって日本を守ったが
したがって、目と鼻の先で英仏を始めとする欧米の軍事力を背景とした傍若無人ぶりを目撃した日本の明治政府が、「自国を欧米の蹂躙から守るために」欧米化したのは極めて賢明な判断であった。 そのおかげで我々は、中国のような(事実上の)欧米の植民地化による苦難の歴史や、実際に植民地にされ世間では「ブリカス」と呼ばれる英国を始めとする国々から残虐かつ卑劣な支配を受けることが無かった。もちろん、南米のマヤのように「文明崩壊」という悲惨な目にも遭わなかった。 このように、欧米の脅威から身を護るためにあえて(欧米に立ち向かうために)「欧米化」の道を歩んだ日本だが、もちろんその中でも、1400年以上の歴史によって磨かれてきた日本文化は連綿と受け継がれてきている。 このようにして大切に守られてきた独自文化の素晴らしさは、4月6日公開「YOASOBIのヒットは『第2次ジャポニスム』到来を告げるのか?」で述べた通りだ。 そして、日本文化の素晴らしさは「ビジネス」や「経営」についても同様である。 バブル崩壊の真の責任が、バブルに浮かれた能力の低い経営者や無責任にバブルを煽ったオールドメディアにあるのは明らかである。それにもかかわらず、「日本型経営」を戦犯扱いし、「欧米型経営」を礼賛してきた。日本の「失われた30年」の原因は複雑ではあるが、無責任な「欧米型経営礼賛」の影響も大きい。 本来(バブルによって)ゆがめられてしまった日本型経営を修復・改善すべきところであったのだが、「欧米型礼賛」によって捨て置かれ負のイメージを受け付けられた。その結果、2021年4月28日公開「東芝、マクドナルド、日産…日本企業をぶっ壊す『プロ経営者』たちのヤバい実態」など、多くの企業が厳しい状況に追い込まれたのだ。