カフェ、コンビニが問われる「脱使い捨て」の責任、グリーンピースがごみ大量排出の実態を解明
これは、対象とする店舗で入れたての珈琲を注文すると、リユースカップで提供し、利用後に好きな対象店舗で返却できるといった仕組みだ。しかし、ローソンの一部店舗での実証実験は2024年2月で終了した。 今後のリユースの推進についてローソンは、「お客様、加盟店の皆さんのご理解とご協力も必要であり、引き続きステークホルダーとともにさまざまな取り組みにチャレンジしていく」としている。 ■リユースは環境負荷低減につながる
記者もこれまで、スターバックスの店舗で「借りるカップ」を何度か利用したことがある。返すときに多少の手間がかかるといったことはあるが、ごみが出ないのが気持ちいい。ステンレスの容器は保温性があり、デザインも優れている。職場などでこうしたリユースの選択肢が増えていけば、ごみの削減にもつながる。 今回、グリーンピース・ジャパンは、使い捨てカップとリユースカップの環境負荷についても試算した。 「40店舗でリユースシステムを導入し、年間3万カップの利用を想定。1日当たりの1店舗のテイクアウト飲料数200個」などの条件を設定し、比較したところ、「1カップ当たりのCO2
換算排出量は45%減、水の使用量は32%減、化石燃料の消費量は48%減」などという試算結果となった(1日のテイクアウト飲料のうちの20%をリユースカップで提供し、使い捨てカップと比較した場合)。 したがって、前出の大舘氏は、「リユースカップの使用は、環境負荷低減の面でも非常に意義がある」と強調する。 今回、グリーンピース・ジャパンの報告書を監修した国立環境研究所の田崎智宏・資源循環社会システム研究室室長は、「大量プラスチック消費社会の現状を考え直すきっかけになる」と評価する。
日本は世界屈指のプラスチックごみ排出大国だ。国連環境計画の報告書(2018年6月)によれば、日本の1人当たり容器包装プラスチックごみの排出量は、アメリカに次ぐ世界第2位。国内だけでは処理しきれず、プラスチックごみの多くを東南アジア諸国などに輸出している。 他国にごみを押しつけることなく、日本に住む私たちが使い捨てから脱却することは、世界の環境問題解決にもつながる。そのためにも、リユースに目を向け、取り組む必要がある。
岡田 広行 :東洋経済 解説部コラムニスト