【玉田圭司×名良橋晃|元日本代表が語り合う高校サッカー】昌平新指揮官の志向を象徴するシステム変更。「プロに近い」リーグ戦では「対策を練るのもすごく楽しい」(中編)
「俺らはインターハイで優勝しただけで実力はまだまだ」
玉田 そうですよね。まあ、鹿島で活躍すれば、もう、すぐ代表ですから(笑)。 名良橋 いやいや、玉田監督はワールドカップでブラジルから初めてゴールを奪った日本代表ですけど、僕なんかワールドカップで初めてポストにシュートを当てた選手ですから。(笑)。[注釈=玉田氏のゴールは2006年ドイツ大会のブラジル戦、名良橋氏の該当試合は1998年フランス大会のジャマイカ戦] 玉田 初ポスト?(笑)。 名良橋 そうです、ブラジルからのゴールとは大きな違いです(笑)。僕の初ポストという冗談はさておき、話は変わりますが、9月から再開しているリーグ戦に向けて、インターハイ優勝後は選手たちに変化ありましたか? 玉田 プレーはあまり変わっていないですね。でも、インターハイ後のフェスティバル、奈良遠征では静岡学園に引き分けて興国に負け、名古屋遠征では名古屋U-18に敗れました。コンディションが影響したとはいえ、負け続けて「俺らインターハイで優勝しただけで実力はまだまだ」と選手たちが感じてくれたので、うぬぼれてはいけないと自覚させる意味では良かったです。プレミアや選手権を見据えたチャレンジもできましたし。 名良橋 リーグ戦が整備され、フェスティバルも多く、中高一貫指導と、昔と今の高校サッカーは環境が異なるなかで、玉田監督自身の高校時代と比較してみると、今の選手たちに玉田少年との違いを感じる部分はありますか? 玉田 今の子たちのほうがしっかりしていると感じますよ。 名良橋 具体的には? 玉田 特に昌平は勉強も疎かにしない文武両道の高校なので、勉強もサッカーも手を抜かないです。 名良橋 となると、テストの点数が低いと練習参加禁止とかあるんですか? 玉田 いや、それはないですね。あと、僕は教員ではないから、学校生活については顧問の先生に任せているので、あまり関わっていないです。それに僕は習志野高校時代、勉強しなくてもサッカーを頑張ればいいでしょ、ってタイプだったし。大げさに表現したら、ですけどね(笑)。 名良橋 ちなみに僕は習志野に憧れていましたよ。 玉田 そうなんですか? 名良橋 学ランに! 玉田 え、学ランに?(笑)。 名良橋 黒ブチのボタンがカッコ良くて。サッカー部にも憧れて。行けなかったけど。 玉田 なんで習志野に行けなかったんですか? 名良橋 ちょっと、大人の事情で(笑)。 玉田 ハハハ(笑)。なんですか? 大人の事情って(笑)。でも、先輩だったかもしれないんですね。 <後編に続く> 構成●志水麗鑑(フリーライター) PROFILE 玉田圭司(たまだ・けいじ)/80年4月11日生まれ、千葉県出身。高校時代は習志野高でプレーし、プロ入り後は柏や名古屋などで活躍した元日本代表FW。2006年のドイツ・ワールドカップではブラジル戦でゴールを決めた。2021年に現役を引退し、2023年から昌平でコーチを務め、2024年からは監督に就任。同年8月にはチームをインターハイ優勝に導いた。 名良橋晃(ならはし・あきら)/71年11月26日生まれ、千葉県出身。高校時代は千葉英和高でプレーし、プロ入り後は平塚(現湘南)や鹿島などで活躍した元日本代表の右SB。98年にはフランス・ワールドカップに出場した。現在はJSPORTSで放送されている『Foot!』で、高校年代の大会や選手を紹介する木曜日のコメンテーターを務めている。
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