【玉田圭司×名良橋晃|元日本代表が語り合う高校サッカー】昌平新指揮官の志向を象徴するシステム変更。「プロに近い」リーグ戦では「対策を練るのもすごく楽しい」(中編)
よりテクニカルな選手を起用した攻撃重視のシステムで
名良橋 そこで気になるのが、去年の基本フォーメーションは4-2-3-1でしたけど、今年に玉田監督が就任してからは4-1-4-1でスタートするゲームが多くなった点です。システム変更はどういう狙いですか? 玉田 より攻撃的で、よりテクニカルな選手を起用し、オフェンス重視にしたかったんです。システムというよりかは、攻撃志向を植えつけました。 名良橋 大谷湊斗選手のアンカー起用も、もっと攻撃的なサッカーにしたい狙いで? 玉田 はい。4-1-4-1というか、4-3-3とも言えるシステムでは、アンカーが最重要のパーツだと僕は思っています。攻撃的なサッカーで勝つためにはアンカーの出来次第だと考えていたので、大谷を抜擢しました。インターハイの途中からは大谷を一つ前で起用しましたけど、代わりに他の選手をアンカーに入れても遜色なくやれていた。それは大谷が最初にアンカーの手本になってくれたおかげです。大谷はFC LAVIDA出身ではないなかで(中学の所属クラブはアメージングアカデミー)、チームにとって良いアクセントになってくれています。 名良橋 やっぱり、中学のクラブチーム、LAVIDAと連係して中高一貫で指導しているのは、監督としてチームの指揮を執るなかでも大きいと感じますか? プレミアの高体連では青森山田や神村学園、静岡学園なども中学とつながっていますし、重要なポイントなのかなと個人的には感じています。 玉田 すごくプラスだと思いますね。やっぱり長い間、同じ選手と一緒にいれば、プレーの特徴だけではなく、私生活の面でもすごく仲良くなる。いろいろな会話のなかで人間性も育まれるし、お互いの性格も分かりながらサッカーできるのはプラス要素です。 名良橋 監督としてもチーム作りしやすい? 玉田 はい、すごくやりやすいです。ある程度ベースができているのはすごく大きいですね。 名良橋 ところで、大谷選手がU-18、LAVIDA出身の長璃喜選手と佐々木智太郎選手がU-17日本代表に選ばれましたね。世代別代表に選ばれる選手からは、玉田監督の代表経験を聞かれたりしますか? 玉田 ないんですよ。 名良橋 まったくない? 玉田監督から話すのは? 玉田 いや、特にないですね(笑)。 名良橋 なぜですか? 玉田 昌平での活躍を評価されて代表に選ばれたなら嬉しいですけど、代表経験を僕から話して日の丸を意識させようと思わないんです。代表に入るために頑張る選手はいないので。名良橋さんも現役時代、そうでしたよね? 名良橋 確かに、そうですね。僕も代表のために頑張ったというよりかは、鹿島アントラーズで結果を残したからこそでした。
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