なぜ横浜DeNA“三浦番長”は投打コーチ4人を配置転換しオリックスとの交流戦初戦に快勝できたのか?
さらに二死からソトが2打席連続となる7号ソロ。8回には桑原のダメ押しの2点タイムリーまで出て大量10得点をマークした。守っては先発のピープルズが丁寧に低めにチェンジアップ、カットボールを集め、4回までノーヒット。息切れになりそうになりながらも7回を投げ切ってゲームメイクした。 「いいスタートが切れて良かった。大きな1勝。打線の状態も良くなってきている。先制、中押し、ダメ押しの得点のしかたは理想」 セの苦戦が予想される交流戦で白星発進し三浦監督の表情にも自然に笑みが浮かんだ。 “番長采配”がズバリ的中したが、指揮官は「選手たちが、交流戦をきっかけに気持ちを新たに頑張った結果だと思う」と、選手ファーストのスタンスを崩さなかった。 勝負の交流戦を前に“番長”が動いた。 この試合から投打のコーチ4人を配置転換した。まず投手部門では、これまでベンチを担当していた木塚敦志投手コーチ(43)とブルペンを担当していた川村丈夫投手コーチ(49)を入れ替えた。三浦監督は、「木塚コーチはブルペン経験がある。ブルペンの選手たちに交流戦を機会によくなってもらうためにね。コーチが入れ替わることで活性化してもらおうと、木塚コーチにブルペンをお願いした」と説明した。 ブルペンで中継ぎ陣の調子を見極め、万全の準備を整え、登板過多の負担がかかっているブルペン陣を強化するのが目的。この日も、大差をつけた展開で8回、9回に誰を起用するのか、難しい展開だったが、8回に石田、9回に国吉を指名。石田が吉田正に2ランを浴びるなどしたが、国吉は3三振を奪い逃げ切った。 打撃部門でも嶋村一輝打撃コーチ(39)がベンチを外れ、“オバQ”ことベテランの田代富雄巡回打撃コーチ(66)がベンチ入りした。三浦監督は「いろんな視点から選手にアドバイスしてもらうため」と言う。田代打撃コーチは、通算278本塁打を誇り、指導者としては、若手の育成に定評がある。ベイスターズだけでなく、楽天、巨人でもコーチを務め、横浜では多村仁志、内川聖一、村田修一、筒香らベイスターズの主力となるスラッガーを育て、巨人でも岡本和真のブレイクに一役買った。ここまでチームは、三浦監督が、度々「あと1本が出ない」と嘆くタイムリーの欠乏に苦しむ展開が目についたが、中心選手も耳を傾ける田代打撃コーチの経験値と、熱い人間性に状況打開の糸口を求めたのである。 借金「16」の泥沼からの脱却をはかるには、人を変えるか、組織を変えるしかない。選手の入れ替えやシーズン途中の補強が難しいのであれば、組織の見直しは必須だった。その危機感は刺激となって選手にも伝わったのかもしれない。