なぜドジャースはレイズで結果を出せなかった筒香嘉智を金銭トレードで獲得したのか?
ドジャースはレイズを戦力外になった筒香嘉智(29)を獲得したことを発表した。レイズは11日に筒香を40人枠から外してウェーバー手続きに入っているところだったが、ドジャースからの働きかけで金銭トレードが成立した。 筒香は、横浜DeNAからレイズにポスティングで移籍した際、2年1200万ドル(約13億1000万円)の契約を結んだ。2年目の今季年俸700万ドル(約7億6500万円)の残り549万4624ドル(約6億円)をトレード先が引き受けるのが通常のトレードだが、地元紙のタンパベイタイムズ紙によると、レイズがほとんどを支払いドジャースは、最低年俸となる43万ドル(約4700万円)を負担するだけだという。 なぜドジャースはレイズが”失格の烙印”を押した筒香を獲得したのか。昨年”世界一”に輝いたドジャースだが、現在ナ・リーグ西地区3位の位置にいる。原因は故障者の続出。4番の2019年MVP男のコディ・ベリンジャーは左足を痛めユーティリティープレーヤーのザック・マッキンストリーも離脱し、一塁控えのエドウィン・リオスは左肩の手術で今季絶望で、筒香の登録枠を空けるため、故障者リストから60日間リストに替えた。レフトのAJポロックはハムストリングスを痛め、さらにショートのコーリー・シーガーが14日のマーリンズ戦で右手を骨折した。筒香に触手を伸ばした背景には緊急補強を必要とする逼迫したチーム事情があった。ドジャースは、筒香が2年前にポスティングを宣言した際、獲得に名乗りをあげており、そのポテンシャルを評価していたという背景もある。 メジャーの公式サイトも「リオスのシーズン残り欠場とAJ・ポロックが足の故障で数週間離脱することで、ドジャースは少なくともベリンジャーとマッキンストリーが故障から復帰するのを待つまで、ベンチにもう1人の打者が必要だった。プホルスが来たとして、レフト、三塁、一塁のできる筒香には、ポロックが欠場中のレフトを任せることができる。マット・ビーティと組んで、左の代打オプションとしての役割も果たす」と分析した。 MLB Trade Rumorsは「筒香はレイズで三塁、一塁、そしてレフトでプレーしたため、ドジャースが好む複数ポジションを守る選手モデルにピタリとあてはまる。筒香は経験のある左打者としてリオスの直接の代役に見られているかもしれない」との見立てで、こちらは一塁を守るマックス・マンシーのバックアップだったリオスの代役として、筒香を起用するのではないか、と予測した。 ドジャースはエンゼルスを戦力外となったメジャー歴代5位の通算667本塁打を誇る“レジェンド”アルバート・プホルス(41)との契約合意にもこぎつけた。プホルスも外野、三塁、一塁を守れるが、ここ数年の試合出場は、ほぼDHか一塁。その意味で筒香の方が使い勝手もいい。 CBSスポーツは、「ベンチ要員の補強」という見立てだ。同メディアも「ドジャースは今年、控え選手に恵まれていない。プホルスと筒香獲得の動きはそこの補強。筒香は一塁、三塁、レフトでの経験を持つパワーのある左打者だ。彼はベリンジャーと左の代打であるマッキンストリー、リオスら負傷者リストに入る選手たちの代わりとして役に立つだろう」と筒香の獲得背景を説明した。 これにより筒香のシーズン途中の横浜DeNA復帰はほぼ消滅した。ただ、筒香は、レイズで昨年、51試合、打率.197、8本塁打と低迷。今季もフォーシームに差し込まれ変化球に崩されるというパターンから脱却できず、26試合で打率.167、0本塁打、5打点の成績しか残せず、三振率が31%と高かった、筒香が新天地で本来持っているポテンシャルを発揮できるかどうかは未知数。 メジャー公式サイトも「筒香はパワーがあり日本で最高のスラッガーの1人だった。それがレイズに2019年に1200万ドルでの契約を試みさせた。ドジャースを含めて他チームも興味を示していた。だが、そのパワーはメジャーでは披露できなかった。故障者に悩むドジャースにとっては、ローリスク、ハイリターンの獲得となる」と懸念を示していた。