アークテリクスの「アロー 22」が都市の街並みにも調和する理由
もっとも目を引くのは、縦向きに止水ジップが配された前面のカンガルーポケットだろう。口が大きく開くため、荷物の出し入れがスムーズにでき、かつひと目でアークテリクスのプロダクトだとわかる存在感を放つ。
現代アウトドアシーンの定番パーツ・止水ジッパーを考案
現在、さまざまなアウトドアギアに使われている止水ジッパーだが、じつはアークテリクスがオリジンといわれている。
当時のデザイナーが、フライフィッシング時にテントのファスナーから雨が浸み込むのを見て、それを防ぐ方法はないかと考え、コイルジップの裏面にシリコンを塗布することをひらめいた。このアイディアをYKKに持ち込み、完成させたのが「WaterTight™ Zipper」と呼ばれる止水ジッパーだ。 「WaterTight™ Zipper」が開発されたことで、ジップ部分に水の浸入を防ぐフラップをつける必要がなくなった。結果、製造工程の簡略化や軽量化が実現した。
「アロー 22」はギアとしてのスペックも群を抜いていた。 ボディは420デニールのコーデュラナイロンとラミネート加工されたTPU素材。異素材を組み合わせることで、耐久性と耐候性が高められている。
背負い心地のよさにも定評がある。 ハーネス作りで培われた熱成型3Dフォームにより、背中に吸い付くようにフィット。本体の底面が狭く設計されているのは、こうすることで全体の重心が上がり、肩にかかる負担を軽減させることができるからだ。
ほかにも、腰を包み込むように密着する背面パッドや人間工学に基づいて設計された厚みのあるショルダーストラップ、ハンズフリーで水分補給ができるリザーバースリーブなど、ブランドのノウハウと技術が注ぎ込まれている。 「アロー 22」の評判は、ヴェイパー ハーネスと同様、口コミでどんどん広まっていった。
洗練されたデザインはモードなスタイリングにもマッチする
「アロー 22」はファッションシーンでも注目を集めた。 無駄が削ぎ落とされたデザインは合わせる服を選ばず、アメカジからビジネススタイル、モードまで合わせる着こなしを選ばない。 日本ではBEAMSが展開したことがきっかけで、爆発的な売れ行きを記録した。 発売から26年余りが経つが、基本的なデザインは発売当時から変わっていない。ただ、背負い心地や耐久性は常にアップデートされており、現行モデルには15インチノートパソコンが収まるPCスリーブも搭載されている。