あなたの会社は何色? コーポレートカラーに込めた願い 主流は赤・青、緑が急伸
連載《カラーコミュニケーション》Vol.6
企業のイメージを直感的に伝える役割を果たすのがコーポレートカラー。多くのコーポレートカラーは、色が人間の感情や心理に与える影響を基に選定されています。人気のカラーがどのような印象を与えるのか、カラーセラピストの志村香織が解説します。 【イラストをもっと見てみる】それぞれの色はどんな印象? 谷本ヨーコさんのイラストで確認
■「情熱の赤」は視認性の高さでも人気
三菱UFJフィナンシャル・グループ、トヨタ自動車、日本航空、楽天グループ、日本コカ・コーラ、日清食品ホールディングスなど、日本のコーポレートカラーに多く採用されている赤は、情熱、生命力、活力、行動力、積極的といったイメージを想起させる色。企業としてポジティブに突き進むイメージを与えたい場合や、スピード感の速さ、有言実行する姿勢をアピールしたい場合などに有効なカラーといえるでしょう。 また、視認性が高く目立つというのも、赤を取り入れる大きな理由の一つと考えられます。遠くから見てもパッと目に留まるというのは、それだけで広告効果が高いですよね。 赤はスペインなどの闘牛で使う布の色でもあります。なぜ赤なのかというと、牛が赤い色に反応するのではなく、人間が興奮するからだ、という話を聞いたことがあるのではないでしょうか。赤には気分を高揚させる作用があることから、経済的な視点で見ると、顧客の購買意欲を高める効果が期待できるといわれています。そんな影響力を踏まえた上で、コーポレートカラーに採用している企業もあるのではないかと思います。
■ファストフード店、「くつろぎ感」演出
ブランドのロゴマークの色も、企業にとってはコーポレートカラーと同じく、消費者に向けて自社の魅力をアピールするための重要な要素です。 赤は血の色であり、生きるためのエネルギーを表す色。食欲を増進する効果があるといわれていることから、飲食店のマークに用いられるケースもよく見られます。マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、ガスト、ジョナサン、餃子の王将、なか卯、すき家、スシロー、ピザーラなど、濃淡の違いや一部差し色はありますが枚挙にいとまがありません。 ファストフード店の内装には暖色系、特に赤がよく用いられます。これは赤が食欲を高めるだけでなく、赤を用いた空間に身を置くと、実際の滞在時間よりも長く滞在したと感じる作用があることに起因します。 闘牛の赤い布で触れたように、赤には目にする人を興奮させる特性があります。そのため、赤を配した空間にいると濃密な時間を過ごしたように感じられ、実際には20分しかたっていなくても、30分くらい滞在していたような感覚になると考えられます。つまり、内装に赤を取り入れると、顧客にゆっくり過ごしたという満足感と共に、「満足したから、もう店を出よう」というフットワークの軽さを与えることや、回転率を上げることができるというわけです。