アグレッシブさマシマシ!! でも乗り味はフレンドリー KTM「390デューク」の意外な特性
30周年を迎えた「デューク」シリーズ
当ウェブサイトを含め、すでに多くの媒体が報じているように、KTMの「DUKE(デューク)」シリーズは2024年で30周年を迎えました。第1号車の1994年型「620デューク」が、「620エンデューロ」の基本設計を転用したスーパーモタード的なモデルで、一部の好事家のみが絶賛するやんちゃな特性だったことを考えると、多種多様な「デューク」シリーズが同社のオンロードバイクの主力になった近年の状況は、少なくとも私(筆者:中村友彦)にとっては隔世の感があります。 【画像】KTM「390 DUKE」(2024年型)を画像で見る(23枚)
そんな「デューク」シリーズは、2024年型で大改革を敢行しました。旗艦の「1290スーパーデュークRエボ」は「1390スーパーデュークRエボ」に、ミドルレンジの上位モデルだった「890デューク」は「990デューク」に進化し、基本設計の多くを共有する兄弟車の「390/250/125デューク」は、数年ぶりのフルモデルチェンジを敢行したのです。 ちなみに、2023年に登場した「1290スーパーデュークGT」と同年に復活した「790デューク」は、2024年型での仕様変更はありません。 ここで紹介する「390デューク」は、排気量から推察すると、日本の普通2輪免許を意識している……かのように思えますが、KTMはそれ以上に東南アジア市場やヨーロッパのA2ライセンス(排気量制限無しで最高出力47.6ps以下)を重視しているはずです。 とはいえ、日本では普通2輪免許で乗れるシリーズ最大排気量車として、2014年の初代デビュー以来、「390デューク」は幅広い層から支持を集めてきました。
兄貴分に負けず劣らずの作り込み
どこからどう見ても「デューク」、と言うか「スモールデューク」なのに、どこからどう見ても従来型とは別物。従来型を知るライダーが新世代の車体と対面したら、誰もがそう感じるでしょう。
その一番の原因は、KTMならではのアグレッシブさがマシマシになった外観ですが、スチール製トレリスフレーム+アルミ製オープンラティスという構造を維持しながら、剛性バランスを刷新したメインフレーム+スイングアーム、オーソドックスな形状からショートタイプに変更されたマフラー、最新型「RC 390」と共通のデザインを採用した5本スポークホイールも(従来型のスポークはY字5本)、別物感に寄与する要素です。 もっとも、新世代スモールデュークの特徴はそれだけではありません。アルミ鋳造製シートレール(従来型はフレームと同様のスチール製トレリス)、車体中央から右に移設されたリアショック、表示内容を変更すると同時にスマホとのコネクト機能を追加したTFTメーター(ただし「250デューク」はLCD)なども、従来型とは異なる装備です。 そして390に関しては、水冷単気筒エンジンの排気量を373.2から398.7ccに拡大したこと、3種のライディグモード(ストリート/レイン/トラック)やリアタイヤの滑りを抑制するトラクションコントロール、ゼロ発進時の最大加速を適正化するローンチコントロールなどを導入したことも、新世代ならではの特徴です。 いずれにしても2024年型スモールデュークの概要を把握した私は、KTMのアンダー400ccクラスにかける意気込み、兄貴分の1390や990に負けず劣らずの気合いを感じました。