「正直、外国人客の接客は面倒くさい…」インバウンド急増に混乱する現場のホンネ…急増する外国人訪日客に「おもてなし」が不要であるワケ
インバウンドが予想をはるかに超えるスピードで復活している。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2024年10月の訪日外国人数は331万2000人で、単月では過去最高を記録したという。また1月から10月までの累計で、史上最速で3000万人を突破したと報じられた。 【図表】インバウンド受け入れ、現場が「いちばん大変」だと思っていることは? この急激な変化に多くの現場が対応できず、混乱している。原因は言うまでもなく、「人手不足」と「言葉の壁」に尽きる。 一般社団法人日本旅行業協会が旅行関連事業者に実施した最新調査でも、インバウンド客受け入れの課題として、「人手不足や人材不足」と「外国語対応スタッフの雇用」が上位を占めた。外国人客の急増に、現場の受け入れ態勢が追いついていないのは明らかだ。
■外国人客の対応、「できればやりたくない」 これに関して筆者は先日、流通小売業向けのインバウンドセミナーを行った際に、現場で働く方からリアルな声を聞いたのでご紹介したい。 まず、関西のセレクトショップで販売職をしている男性が、こんな本音のエピソードを話してくれた。 「正直、外国人客の接客は面倒くさいし、時間もかかります。日本人スタッフの多くは、できればやりたくないと思っていますよ。 だから外国人客が入店してきたら、すぐに中国人スタッフのAを探します。彼女は中国語だけでなく、英語も話せますから。もしAが見当たらなかったら、『うわっ!』となります。そして、日本人スタッフ同士で暗黙の押し付け合いが始まります。『お前が行け』って、目で合図を送り合うんです(笑)。
ただ、最近はあまりに外国人客が増えたので、Aだけでは対応しきれなくなっています。私たち日本人スタッフが、仕方なく対応するケースが多くなっていますね」 また、都内の百貨店で化粧品アドバイザーをしている女性が、忸怩たる胸のうちを明かしてくれた。 「会社からは多言語翻訳ツールを使って接客するよう指示されています。でも、正直あまりうまく対応できていません。多言語翻訳ツールを使ったって、普段と同じようには接客できないですよ。