城氏が語る「なぜ大迫、中島、南野、堂安の奏でるハーモニーは美しいのか?」
ベネズエラを相手に1対1のドローに終わり、森保ジャパンは史上初となる発足4連勝の記録は逃したが、大迫、南野、堂安、中島の4人が奏でる“攻撃のハーモニー”は美しかった。さらに磨きがかかったようだった。 ボランチでは、遠藤がやや守備的にバランスを取り、柴崎が縦パスを駆使して前線に絡む。最終ラインは、吉田―冨安の高さを誇る新旧コンビ。トータルで、攻撃、守備のバランスがよく、そう簡単に負けないチームになった。引き分けでも森保ジャパンへの評価は下がらないだろう。 4人に代表されるように前を向ける選手が揃っていて、少ないタッチ数で「縦へ」と展開するイメージが共有されている。ベネズエラは決して悪いチームではなかった。高い位置からプレスをかけてきた。日本は、ハイプレッシャーを感じながらも、ボールをキープ、ワンタッチで「縦へ」と抜けていくシーンが目立った。 攻守の切り替えも早い。また逆にボールを奪われた場合も、その選手は必ず追いかけて攻撃の芽を摘む仕事をしている。チームで“イズム”が徹底されているように感じた。 ベネズエラにとって最も嫌な存在だったのは大迫だろう。キープ力に加えて前を向く。ハイプレッシャーの中でも大迫の足元にボールが収まり、しっかりとキープできるからこそ、2列目の中島、南野、堂安が動きだすことができた。 大迫は自己犠牲を厭わなかった。意図的に周りを生かすために下がってボールをもらいにいく。すると裏に南野が走りだす、或いは中島が逆に中へ入ってくるなどの“阿吽”の連動へとつながり、4人それぞれのポジショニングが非常にバランスの取れたものになって攻撃の形が整っていた。そういうチャレンジをしているときは相手に脅威を与える。 ただ形はできていたが決定的なチャンスは逃した。 前半26分には、堂安がフリーになったが、利き足と逆の右足で浮かせたシュートは枠を外れた。接戦では絶対に決めなければならなかったシーンだが、若さが逆に作用した。もっと上のレベルとの試合では、こういうワンチャンスのミスが命取りになる。本人が一番、理解しているだろうが、試合を重ねる度に、4人の連携、連動が、どんどん進化しても、最後の最後は、個の決定力。そこは日本代表の永遠の命題ではあるが、決めきる力、つまり決定力は、それぞれが所属するクラブの場で磨くしかない。 結果的に日本の得点は前半39分の中島のFKにファーサイドから走りこんできた酒井宏樹が、右足のインサイドで鮮やかなハーフボレーを決めたもの。芸術的な酒井の代表初ゴールを演出したのは、中島のFKのボールの質だった。 急激に巻いて落ちるボール。GKは出れず、ディフェンスは下がりながらでしか対応できない。そういう質のボール。走りこんできた酒井にピンポイントで合わせる技術力の高いクロスだった。完全に狙ったイメージプレー。酒井のヘッドを想定していたのかもしれないが、セットプレーも日本の攻撃オプションのひとつとして構築していきたい。