城氏が語る「なぜ大迫、中島、南野、堂安の奏でるハーモニーは美しいのか?」
後半の停滞にチームが抱える課題が浮き彫りに
守りでは、つまらないPKを与えて失点したが、吉田―冨安のセンターバックの新ラインも効果的だった。前半11分、無人となっていたゴールへ滑り込んで冨安は、先に失点することを防いだが、吉田の経験に、20歳の冨安の運動量とカバーリング能力がうまくリンクしていた。 吉田が身長189センチで冨安が188センチ。ワールドクラスの高さがあり、ヘッドでも競り負けずに跳ね返していた。楽しみな最終ラインだ。 初先発の抜擢を受けたGKのシュミットも身長が197センチある大型キーパー。元々、足元が上手い選手で、そのキックは正確で距離も出せる。彼のキックを使ってビルドアップが可能となり今までになかった攻撃のオプションが増えた。GKは経験の必要なポジションだが、今後の成長に期待が持てる。 一方で課題も浮き彫りになった。 後半の途中から4人を入れ替え、杉本、北川、伊東、原口が投入されたが、大迫のようにボールを持てる選手がいなくなり、攻撃の連動性と連携がガクッと落ちて停滞した。まだチームの選手層という部分ではまったく足りていない。今後、長丁場を戦っていく中で故障者も出るだろう。そう考えると大迫、中島、南野、堂安の先発の4人と、彼らを追うメンバーとの格差をどう縮めていくのか、という課題の解決は急務だ。 また左サイドでは、中島が前へいく分、その後ろのスペースが手薄になっていた。佐々木が見るのか、それとも中島を戻さねばならないのか。そこがハッキリとせず、ベネズエラの攻撃陣に自在にやられるウイークポイントにもなっていた。本来、左のサイドバックを任すはずの長友も怪我。左サイド問題は、今後のチームの課題だろう。 柴崎、吉田ら所属クラブで出番を失っている選手の試合勘、コンディションという問題もある。柴崎は、後半、体力が落ちていた。試合に出ていれば、さらにパフォーマンス、コンディションは上がっていたと思う。個の能力を向上させるための、それぞれのクラブでの戦いが、代表のチーム力に直結していくのである。 (文責・城彰二/元日本代表FW)