【独自解説】次期自民党総裁に求められる資質はアメリカとの交渉力 「拉致問題」「USスチール問題」とどう向き合う? アメリカ大統領選拮抗で究極の選択 キーパーソンは2人の大使
■候補者が試される「USスチール問題」はアメリカの「誇り」の問題
もう一つ、候補者がこれからアメリカから試金石とされるのが「誇り」というものをどう考えるか、という問題です。それが「USスチール」という会社の買収問題です。この「USスチール」はアメリカの大統領選挙を左右すると言われ、昔は鉄で栄えたが今は錆びている街だと呼ばれるペンシルベニアにある、まさにアメリカの「誇り」と言われている会社です。これは、儲かっている・儲かってないは関係ないです。一緒にすると怒られますけど、日本で言ったら「トヨタ」のように、アメリカ人ににとってその企業の名前を挙げればアメリカだ、というような意味合いの企業です。
この「USスチール」を「日本製鉄」という日本を代表する製鉄会社が買収しようとしています。もちろん、「日本製鉄」の説明は「今『USスチール』はちょっと弱っているけれど、日本製鉄が手を貸せば元気になって、アメリカの雇用に役に立ちますよ」と言っていますが、これに関してだけは、トランプ前大統領もハリス副大統領も意見が全く同じで、「とにかく日本には買わせない」と2人とも言っています。
大事なのは「プラウド」という英語、日本語では「誇り」になりますが、アメリカの人でこれを発音するときに背筋伸ばす方もいるんです。その国の「誇り」というのはビジネスの面で理屈に合っているからというわけではないということです。
日本は痛い経験をしています。この写真は、皆さんの中にも覚えている人もいると思います。「日本の車がハンマーでぶち壊されている写真」です。これは、日本がバブルで経済力を持っていた頃に、とにかくお金の力でアメリカの企業を買ったことに大変反発して起こったことで、今回も同じようなことにならないかということが心配です。
しかし、今の日本の政府及び岸田首相の立場は、「これはあくまで民間の話」で、今まで「意見は極力言わない」ということになっていました。しかし、これからトップになろうという人たちはそれで済むのか?ということになります。
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