今「スタートアップ」で働く意義とは?日本最大級スタートアップ支援会社代表が語る日本企業のこれから
「スタートアップは当たり前」な世界をつくるために
そんな志水さんが人生を捉え直したのは、10年前のある転換点がきっかけでした。 「実は40歳のころ、いわゆる「窓際族」だったんですよ。給料だけ高くて、やることがない、そんな状態になってしまったんです。 それで、自分が生きてきた40年ってどんな時代だったんだろうか? そこで自分はどう行動したんだろうか? って振り返ってみたんです」 インプットを通して日本の危機的現状を実感し、「日本を再び豊かな国にする」という課題を得た志水さんは、ヘッドハンターという仕事に再起をかけることに。しかもスタートアップに的を絞り、人材のマッチングだけでなく企業のプロデュースまでサポートするという、日本では稀有な存在となっていきます。 「ここまでのパフォーマンスを出せたのは、きっと自分の中では生きるか死ぬかの勝負だと思っていたからです。自らが生きる理由を取り戻すためには『ここに自分がいる』と証明することが大事だと思ったので、とにかく努力しました」 スタートアップの世界では、時代を代表するリーダーが自らの「ことば」でミッション、ビジョン、バリューを語り、課題解決のためのプロダクトやソリューションを生み出そうとしています。「そこに優秀な人材をつなげることが、自分とフォースタートアップスの使命」だと、志水さんは強く語ります。 スタートアップが選択肢に入らない人には、「スタートアップは非日常的な存在ではなく、日常的な存在であると伝えたい」と志水さん。 「日本の場合、いまスタートアップで働く労働人口は1.3%。1位の東京は8%、2位の大阪は1%、続く愛知・神奈川・福岡が0.5%前後で、まだまだ発展途上なんです。 でもアメリカを見てみると、新規雇用の半分は新産業側で、優秀な人材の雇用を維持するために高賃金で人を集めようとしています。 社会の水準を上げたいのなら、スタートアップが非日常である社会は間違いです。未来の話をするなら、もうスタートアップに『オール・イン(全員行くべき)』なんですよ」 「スタートアップに向いているのはどんな人ですか?」と聞かれることが多いという志水さん。しかし、スタートアップで働くことが日常になれば、「向いている人・向いていない人」という議論自体が時代遅れになるはず。 政府も2023年の「骨太の方針」でスタートアップ育成を掲げたことも記憶に新しい今、産業人口の大移動を起こす必要があると見解を述べました。