SNSからイベントまで、あらゆるコンテンツの考え方を学ぶ 「WWDJAPAN」のワークショップ2024年第二弾
2限目
社会性を備えつつ、リアルイベントを育むには?
2限目は、「ニナ リッチ(NINA RICCI)」や「ヌメロ ヴェントゥーノ(N21)」などを輸入・販売するIZAの田中タキ社長が登壇し、リアルイベントの企画について話した。
IZAの名物コンテンツは、これまで16回開催している「イザ ピンク クリスマス」。ピンクリボンや動物愛護などの社会的コンテンツも加えながら、規模を拡大し続けている。田中社長は、ドレスなどを扱うセレクトショップとして、販売したアイテムを楽しんでいただく機会を提供すべくスタートしたイベントの歴史を説明。踏まえて「イベントは、本当にそれをやりたいのか?」「なぜ、開催したいのか?」という強い思いを持つことが重要と指摘した。その「なぜ」から独自性の高いコンテンツが生まれるし、「本当にやりたい」から多くの人が共感、参画し、結果SNSなどを通じて輪が広がり、イベントは段階的かつ継続的に発展していくためだ。加えて重要なのは、ファッションらしく「楽しい」の要素を持ち込むこと。例えば「イザ ピンク クリスマス」の乳がんを考えるパートでは、当初医師との真面目なディスカッションなども計画したが、「楽しい」を追求した結果、乳がんサバイバーのファッションショーにたどり着いたという。ファッションショーは、参加者はもちろん、来場者の心にも響く。「楽しい」×「社会性」が人々の共感を誘うことを解説した。
3限目
企業の中の人のSNS投稿は、「ブランドの毀損」にならない?
3時間目は、情報過多な時代におけるインスタグラム用のコンテンツ作りを考えた。
最初に登壇したのは、「WWDJAPAN」の浅野ひかるソーシャルデスク。フォロワー数が40万を超えたインスタグラムの運用責任者は、「ユーザーはさまざまなチャネル、SNSを使い分けているので、“全部盛り“をやめた」という話からスタート。消費者は、「知る・興味を持つ→詳しく調べる→購入を検討する→購入する」というカスタマージャーニーを辿ることを踏まえ、企業のSNSも「購入動線も大事だが、SNSの外にばかり気を取られると運用やコンテンツがブレ、結果望む効果が得られない」として、「KPIとその理由を明確にする」「何を伝えたいのか?整理する」「コンテンツの目的を明確にする」の3つが必要と訴えた。 後半は、資生堂グループのデジタルマーケティング業務などを手掛ける資生堂インタラクティブビューティーの河原由香理グループマネージャーと、河原さんがまとめる40人ほどのパーソナルビューティーパートナー(PBP)の1人、エリーさんが登場。ブランド公式とは異なるPBPによるSNSの役割を解説した。河原マネージャーは、ブランドや商品の紹介が中心のブランドアカウント、店舗が主語になる店舗アカウントに対して、PBPのアカウントは、「新製品を個人がどう思っているのか?など、人というフィルターを通して情報を発信している。ブランドアカウントは価格や発売日などを伝えるが、PBPアカウントは、『私にも合うのか?どう使えば似合うのか?』を発信する」と解説。発信を個人に委ねるとき頭によぎる「ブランド毀損はないのか?」という不安については、「PBPは、ブランドを理解している、ブランド最大のファン。だから心配ない。ブランド毀損になっていないと信じている」と背中を押した。