センバツ32校が決定!主力7人故障の天理は「近畿を制する者は甲子園を制す」の高校野球新格言を守れるのか?
「第92回選抜高校野球大会」(3月19日から甲子園)の選考委員会が24日、大阪市北区の毎日新聞社のオーバルホールで開かれ、21世紀枠の3校を含めた出場32校が決まった。昨夏甲子園ベスト4の明石商業や秋の明治神宮大会を制した中京大中京らと共に優勝候補の一角に挙げられているのが、5年ぶり24度目の出場を決めた古豪の天理(奈良)だ。主力7人が故障を抱えるなど不安材料もあるが、元プロ野球選手の中村良二監督(51)が鍛え上げた攻守は迫力満点で、近畿大会では、昨夏優勝の履正社、大阪桐蔭を下した。ここ10年で近畿勢のセンバツ優勝校は5校。「近畿を制する者は甲子園を制す」の高校野球新格言を追い風に天理が23年ぶりの頂点を狙う。なお組み合わせ抽選会は3月13日に行われる。
奈良県大会3位から”下剋上”でセンバツ切符
堂々の近畿王者としてセンバツに挑む。竹森博志校長(65)のもとへ吉報が届いたのは午後3時25分。直後に天理の親里球場で練習中のナインにセンバツ出場決定が伝えられると歓喜の輪が広がった。 「昨秋の県大会で智弁学園にあんな形でコールド負けしてからチームが変わった。1人では勝てない。チーム力を高めようと1人1人が取り組んだ結果です。チーム力はどこにも負けない。天理らしい野球をして目標は全国制覇。これまで負けたチームにはやり返したい」 明治神宮大会では打率7割をマーク、1番打者として打線を引っ張って来た主将の下林源太内野手(2年)がナインの思いを代弁した。 昨秋の奈良大会では準決勝で宿敵の智弁学園にコールド負け。辛くも3位で望みをつなぐと、そこからガラリと一変した。近畿大会では強力打線が爆発し、報徳、昨夏の甲子園覇者、履正社といった優勝候補を次々と撃破。決勝では大阪桐蔭を12―4で下し、近畿王者となった。さらに、秋の明治神宮大会では優勝した中京大中京に激闘の末に敗れたものの、11年ぶりの4強入りを果たした。優勝候補としてリストアップされるのもわかる。 天理OBでプロ野球の近鉄、阪神でプレーした中村良二監督も「このチームはまとまりがあり、本当に良く練習する。1試合1試合全力で戦い、1試合でも多く甲子園で試合をさせてあげたい」と一丸態勢を強調した しかし、痛快な“下克上“の裏で実は大きな代償も払っていた。実は、193センチの長身右腕の達孝太(2年)ら7人もの主力が明治神宮大会後、故障でチームを離脱したのだ。 中村監督は「もう一度、あのような試合をやれと言われてもできないような試合ばかりだった。選手はよくやってくれたが、想像以上に負担がかかっていたようで、レギュラークラス7人が故障していた。気持ちが張り詰めているときは、そうでもなかったんでしょうが、気持ちがほぐれて症状が出たようです」と話す。 ライバル校は、すでに紅白戦などの実戦に入っているが、チームは、選手の仕上がりに応じて3班に分かれて練習しており、「2月中旬まで体力づくりに充てる」(中村監督)との段階。投手陣も本格的な投球練習を始めたばかりだという。 センバツに向けて調整遅れは否めず不安材料は多いがチームに焦りはない。