「STAP論文」を調査委が否定 再現実験はムダだった?
12月26日、理化学研究所が設置したSTAP細胞論文の調査委員会は、STAP細胞とされたものはES細胞が混入したものである可能性が高く、論文のほとんどに根拠がないことを発表しました。また、図表の一部は「捏造」または「改ざん」、つまり不正であると認定。その上で、小保方氏を指導する立場にある研究者がこうした問題を感知できたはずだが、その検討をしなかったと厳しく批判しました。 【アーカイブ動画】小保方氏が会見し謝罪「未熟さで迷惑かけた」
ES混入「故意」か「過失」かは分からず
理研は以前、内部で調査委員会を設置し、小保方氏らの論文における疑義6点について調査しました。今年3月31日、同委員会はそのうち2点を研究不正と認定しました。しかし、それ以前からこの論文にはその6点以外にも多くの問題が指摘されていました。また、6月以降には、共著者である若山照彦氏や理研研究員の遠藤高帆氏らの遺伝子解析結果により、STAP細胞とされているものはES細胞ではないかという指摘さえも浮上していました。 理研はそうした疑惑に応じるかたちで、9月3日、外部の専門家からなる調査委員会を新たに設置し、26日、その結果が全33ページの報告書として公表されました。委員長は桂勲・国立遺伝学研究所所長。そのほか4人の科学者と2人の弁護士が名を連ねています。 調査委員会は、STAP細胞とされたもの(正確にはSTAP幹細胞とFI幹細胞)の全ゲノム(遺伝情報すべて)解析を行った結果、それら全部が既存のES細胞に由来するものであると判断しました。 しかし、そのES細胞の混入が「故意」なのかそれとも「過失」なのか、また、誰が行ったのかは決定できない、としました。小保方氏を含む関係者はES細胞の混入について、全員が否定したといいます。報告書は結論を出せなかったことについて「本調査委員会の能力と権限の限界」だと述べています。 また、同委員会は不正を指摘されていた図表18点を精査したところ、さらに図の2点を「捏造」、つまり不正であると認定しました。 理研はこの調査結果を受けて、すでに退職願いを出した小保方氏の身分について懲戒委員会の審査を再開するとともに、研究不正の再発防止に取り組む「アクションプラン」を実施することを、野依良治・理事長名で発表しました。