「あれは全て私がやりました!」 わが社の“承認欲求モンスター”をどう扱うべきか?
いまだに尾を引く、兵庫県知事選におけるPR会社社長の炎上騒動を受けて、ビジネスシーンで「わが社の承認欲求モンスターをどう扱うべきか」という難題が注目されている。 【あれは私がやりました!】PR会社社長の“承認欲求強め”な投稿 公職選挙法というものに対しての知識のなさもさることながら、「守秘義務」という法律も全て無視する、ハチャメチャぶりに背筋が冷たくなったビジネスパーソンも多いはずだ。 「そういや、うちの会社のキラキラ女子もインスタに高級バッグの写真やら高級ホテルのアフタヌーンティーしてきた写真とかよく挙げていたな。クライアントの機密情報とか投稿していないよな……」
◆承認欲求モンスターに欠落している2つの視点
これまでさまざまな企業で社員の情報漏洩などの不祥事対応を手伝ってきた立場で言わせていただくと、ビジネスシーンにおける「承認欲求モンスター」の恐ろしさはそこだけではない。 彼ら、彼女らは、とにかく自分の手柄が認められたいという欲求を肥大化させがちで、仕事をするうえで欠かすことのできない「顧客」や「チームワーク」という視点がごそっと欠けてしまう。そのため、商談や会議などでとんでもない行き違いが生じて、大きなトラブルに発展しやすいのだ。 一体どういうことか、今回の騒動の発端であるPR会社社長のnote『兵庫県知事選挙における戦略的広報:「#さいとう元知事がんばれ」を「#さいとう元彦知事がんばれ」に』を例に説明しよう。
◆PRのプロにあるまじき「異常な発信」
斎藤兵庫県知事に批判的な立場のメディアや弁護士などは、このnoteの存在をもってして公職選挙法違反だなんだと大騒ぎをしているが、本当の選挙のプロ、本当のPR業界の人間の印象はまったく違う。 ハッキリ言わせていただくと、「この人、本当に仕事を請け負ったの?」とどうしても疑いの目を向けざるを得ないのだ。 なぜかというと、選挙やPRのプロであれば、絶対になくてはおかしい「クライアントの満足度」「チームへのリスペクト」が抜けているからだ。 お読みになっていただければ分かるが、このnoteは自分の手柄話、苦労話が赤裸々に述べられている一方で、その功績についてクライアントである斎藤元彦氏や事務所スタッフたちがどう評価をして、どう感謝をしていたのかということが一切触れられていない。斎藤氏との打ち合わせ風景という写真は掲載されているが、この時にどのようなやりとりがあったとか、具体的なコミュニケーションに関する記述は一切ない。 これは「クライアントファースト」を徹底的に叩き込まれるPRパーソンにはあり得ない「異常な情報発信」である。