ラミレス監督動く。横浜DeNAが”守護神”山崎の中継ぎ配置転換から三嶋新ストッパーで”G倒”…新勝利の方程式は正解か
救援に失敗した26日の広島戦の後には、山崎の”守護神続投”を明言したが、巨人戦を迎え、配置転換をほのめかす発言に変わっていた。 横浜DeNAには、チーム戦略部の中に最新のITデータを駆使する「リサーチ&デベロップメント(R&D)グループ」があるため、山崎のボールの回転数、ツーシームの軌道や回転軸まで調べあげ、好調時との違いを客観的にデータで可視化することができる。データ重視のラミレス監督は、それらを材料に山崎の現状を分析して配置転換という判断を下したのかもしれない。 8回にパットンを挟み、9回に新ストッパーとして指名したのは三嶋だった。ストレートは、すべて150キロを超え、ボールに力があり、何よりピッチングに気迫が満ち溢れていた。大城をフォークで三振。代打・亀井には初球のカーブ以外、全球ストレート勝負を挑み、レフトフライに抑え込んだ。最後は重信を153キロのストレートでスイングアウト。プロ8年目にして初セーブをマークした新ストッパーは渾身のガッツポーズで役目を果たした喜びを表現した。 三嶋はストッパー経験こそないが、先発、中継ぎの豊富な経験と責任感があり、制球も安定。ストレートもフォークもウイニングショットに使えて三振が取れる。チームの現状を見れば、新ストッパーは三嶋しかいない。 1勝6敗と負け越していた巨人を相手にラミレス監督は、新勝利方程式を使い、梶谷、高城の一発攻勢で奪った3点を守り切った。見事な采配である。 だが、すべての不安要素が解消されたわけではない。 ラミレス監督は、試合後、三嶋を新ストッパーに指名したわけでなく、相手や調子を見ながら日替わりストッパーとなる方針を示唆した。 新型コロナウイルスの影響で143試合が120試合に縮まり、過密日程となるイレギュラーなシーズンを勝ち抜くため、ラミレス監督は、「デイ・バイ・デイ野球(その日のベストを尽くす)」を掲げている。その方針から言えば、日替わりストッパープランも理解できるが、それでは起用される方の覚悟が中途半端になる。9回を任される投手は、登板予測が難しいブルペン待機と違い、十分な準備が可能なだけに、なおさら入念なルーティンが必要で、心身の作り方がまったく違うのである。 山崎の復調までの暫定ストッパーであろうが、投手が戸惑わないためにも、日替わりでなくストッパーは固定すべきだ。広島のように誰が投げても不安定という状況とは違い、今の三嶋には安定感がある。 そして山崎の起用法についても問題は残る。 ラミレス監督は、優勝するための”守護神”は山崎でなければならないという考え方を示しているが、中継ぎで投げながら復調を待つのは危険な手法である。まだツーシームにはキレがなく、坂本や丸は誘いに乗ってくれなかった。“守護神“のプライドを尊重する意味でも、阪神の藤川球児のケースと同じく、一度、登録を抹消して”心身のメンテナンス”を行い、調子を万全に整えてから1軍復帰させるべきではないか。そこからの再スタートが中継ぎであっても山崎が再調整を終えた後ならば、配置転換の意味が違ってくる。 ダイエー(ソフトバンク)、ヤクルト時代にストッパー経験のある池田親興氏は、今回の山崎の中継ぎへの配置転換、日替わりストッパー示唆は、「ラミレス監督の山崎への配慮ではないか」という見方をしている。 「現状を見ればベストの布陣で逃げ切ったと思う。今の山崎の調子では配置転換も仕方ないだろう。中継ぎになると、後のないストッパーに比べプレッシャーは減るので力を発揮しやすい環境にはなる。中継ぎをしながら復調することも可能だろう。過去にそういう例もある。だが、登録抹消をして立て直す方がいいという考え方もある。中継ぎ起用されたのは、他に代役がいないというチーム事情もあるのだろう。ただラミレス監督は、山崎本人の考えを聞いてあげてもいいのかもしれない。いずれにしろ復調は、山崎自身が克服しなければならない問題だ。 また日替わりストッパーを示唆したのは、山崎への配慮であり、三嶋の負担を軽減させてやる狙いもあってのものだと思う。きょうは9回だ、と試合前には投手コーチから言われるし、それを繰り返しながら三嶋の覚悟や準備は確立されてくるもの。それでも山崎という実績のある守護神が動いたわけだから、何試合か勝ちパターンの成功を重ねていくまではチームに不安は残るのかもしれない」 先発に大貫を立てる今日30日は勝率5割復帰をかけた大事な第3戦。 ラミレス監督は、「この勢いを明日に持っていき、しっかりと勝って(勝率を)5割に戻したい」と、ファンに約束していたのだが…。