引き分けの裏で何が…なぜ横浜DeNAラミレス監督は9回一死満塁でマウンドへ向かい山崎康晃にどんな檄を飛ばしたのか?
6連敗中の横浜DeNAは22日、横浜スタジアムで行われたヤクルト戦に5-5で引き分けた。同点の9回にクローザーの山崎康晃が一死満塁の大ピンチを迎えると、アレックス・ラミレス監督が直接マウンドに行って異例の檄。連敗中には、その采配を巡って疑念の声も集まっていたが、この日は、“ラミレスマジック“で危機を切り抜けて引き分けに持ち込んだ。指揮官は「勝つことはできなかったが、勝利はすぐそこに見えている」と連敗ストップに手ごたえを感じていた。
「どんなプラン(配球)で村上を攻めるのか?」
背番号「80」が通訳と共にベンチを出た。しびれを切らしてまた交代? 一瞬、スタンドがざわついたが、ラミレス監督は、審判に交代を告げるのではなく、表情を硬くした“守護神”山崎のいるマウンドへと向かったのだ。 5-5の同点で迎えた9回一死満塁。絶体絶命のピンチである。 「何かを言ったというより、大丈夫か?どんな感じなんだ?とヤスのフィーリングを聞いた。落ち着かせたんだ」 そして、ラミレス監督は、山崎―嶺井のバッテリーに、この日もタイムリー、4号本塁打と絶好調のヤクルトの“最強4番“村上への配球を確認したという。 「どんなプランがあるの?と2人に聞いたんだ」 2人は「勝負したい」と伝え、配球プランを答えた。 「じゃあ、そのプランでいこう」 ラミレス監督は、山崎のお尻あたりをポンと叩いて走ってベンチへ下がった。 指揮官の動きには伏線があった。 山崎は19日の巨人戦で9回に1点を守れず救援に失敗。同点で降板を指令され、緊急登板となった国吉が岡本に勝ち越し2ランを打たれ手痛い黒星を喫していた。 試合後、ラミレス監督は、「明日1日休みがあるのでゆっくり考えてみたい」と、防御率が6点台と不安定なピッチングが続く山崎の配置転換を示唆したが、守護神を信頼しない継投策のミスに批判の声が集まっていた。 ラミレス監督は、前日(21日)のヤクルト戦前に山崎と会談を持ち、「彼の高いモチベーションを確認した。ヤスは、これまでも苦しい時期を乗り越えて今の地位を築いたんだ。これまで通り使いたい」と、クローザー続投を決断していた。 6連敗を脱出し、守護神に自信を取り戻させる意味でも、この最大のピンチこそ、山崎蘇生のチャンスだと考え、行動を起こしたのである。