前回V積水化学は隙のない布陣、資生堂は4区高島で逃げ切る配置、廣中の復活で日本郵政にも可能性【クイーンズ駅伝展望】
1区の菅田は日本選手権10000m5位、区間上位でつなぐだろう。2区の牛は昨年も2区で区間2位。「牛も昨年と同じくらいの調子です。1、2区は良い位置でつなげると思います」と髙橋昌彦監督。 3区の廣中が前述のように、今年まったく試合に出ていない。クイーンズ駅伝3区がぶっつけ本番になるが、その点に不安はないかを髙橋昌彦監督に確認した。「一時期は廣中1区、菅田3区を考えましたが、廣中の状態が上がり始めて、1区で数秒抜け出すより、3区で大きくタイムを稼ぐ方がいいと考えました。そして4区に、これまではチームで6番目の選手を置いていましたが、今年は一番強いカロラインを起用できます。廣中は未知数のところもありますが、カロラインが控えていることでのびのび走ることができます。廣中くらいの選手は良いリズムで練習ができていれば、レースに出なくても自分で上がり方がわかります」。 髙橋監督は3、4区でトップに立つ展開を考えている。 その展開に持ち込めたとき、勝負を決するのは5区の鈴木亜由子(33)になる。JP日本郵政グループが創部した14年から在籍している唯一の選手で、今年で10年連続出場になる。名古屋ウィメンズマラソンで2時間21分33秒の自己新で3位(日本人2位)。パリ五輪代表入りは惜しくも逃したが、その後、現役続行を決意した。 だが名古屋後はレース出場も少ない。一時期は駅伝メンバーに入れない可能性も、髙橋監督は口にしていた。しかし今は「長い距離になれば菅田より強い」という状態まで上げてきた。「理想は廣中でトップに立って、カロラインで差を広げることです。できれば5区に渡るときに1分くらい欲しい。鈴木は『私が5区ですか』と言っていましたね(笑)」。 髙橋監督が鈴木のコメントをメディアに笑いながら話したのは、2人の間に信頼関係があることの裏返しだろう。世界陸上とオリンピックに5000mと10000mで出場し、東京五輪にはマラソンで出場した。鈴木が日本郵政チームの成長を支えてきた功労者であるのは、誰の目から見ても明らかだ。