アフリカの子どもたちに笑顔を!人力車で旅をするガンプ鈴木さんのアイデア「Run For Snack」
民泊を叶えてくれた女性との出会い
ガンプさんが走る目的のひとつに、「現地の人との交流」がある。今までの旅や、浅草で俥夫として仕事をしていたときも、常に出会った人たちとのコミュニケーションを大切にしてきた。いつもそこから生まれる「なにか」が、すべてガンプさんのモチベーションになった。うれしいことも、ハプニングもパワーに変えて、走る原動力にしてきたのだ。 ただ、ケニアのナイロビから出発したあとの道中では、地元の人とじっくり関わるチャンスがなかった。そこに心残りはあったそうだが、順調にケニアを突破、続くタンザニアに入国しても走り続けた。 ある日、ガンプさんがタンザニアのイリンガという街を目指して走っていた。その頃、先に到着したカメラマンたちが1人の女性に出会った。宿泊する場所を探していた一行は、女性と話しているうちに、彼女と家族が住む家に泊まらせてもらえる展開となった。 「僕の到着前に民泊の話になったようです。25歳の若い方で、人を家に招くのが好きといってくれて」 ケニア人コーディネーターのレギーさんは「彼女は人が好きで、シンパシーを感じた。これは彼女の思いやり」と通訳した。彼女と家族には2軒の家があり、気に入ったひとつの家に泊まらせてくれるという。リビングやベットルームがある、きれいに整えられた家だ。ガンプさんにとって民泊となれば、地元の人と話す時間が増え、実際の生活、習慣、考えなどに触れられるので、願ってもないことだった。 彼女は、到着直後に汗をかいているガンプさんを見て、まずシャワーを勧めてくれた。 それならば「すぐにシャワールーム!」ということではない。ここではシャワーの水を汲みに出かけるところから始まる。まずリアカーにバケツを載せて歩くと、後ろから子どもたちが駆け寄ってくる。 人が集まる場所に到着すると、直径2mくらいの大きさで深く掘られた井戸があった。そこにロープを結んだバケツを入れて水を汲む。かなり深くまでバケツを入れないと水面まで届かない。しかも引き上げた水はもちろん泥水。ガンプさんは「おお、これかー」と自分が利用する水を見て驚いた。そして現地の人が促すままに何杯かのバケツを満たした。