盗難に遭った絵画が約40年ぶりに姿を現す! ルーベンスとヴァン・ダイクの貴重な二重肖像画がついに帰還
17世紀フランドルの画家、エラスムス・クエリヌス2世が木板に油彩で描いたピーテル・パウル・ルーベンスとアンソニー・ヴァン・ダイクの二重肖像画は、1838年以来、イギリスのデヴォンシャー公爵家のコレクションとなり、イギリス中部ダービーシャーの邸宅、チャッツワース・ハウスに所蔵されていた。しかし、1979年に南東部のイーストボーンにあるタウナー・アート・ギャラリーに貸し出された際に盗まれ、行方不明になってしまった。 チャッツワース・ハウスの元司書であるピーター・デイはあるビデオの中で、1978年にシェフィールドのギャラリーでこの絵を含む展覧会を企画したと証言している。同展は1979年にもタウナー・アート・ギャラリーで実施されたが、同年5月26日に盗難事件が発生。第11代デヴォンシャー公爵の故アンドリュー・キャヴェンディッシュが当時デイに語ったところによれば、ウィンドウを壊して押し入る荒っぽい強盗だったという。 BBCによると、それから約40年の月日を経て、2020年にベルギーの美術史家ベルト・シェイパースがフランス南部のトゥーロンで開催された美術品オークションでこの作品を発見し、チャッツワース・ハウスに通報したという。 その後3年間、盗難美術品に関する世界最大級のデータベースを運営するアート・ロス・レジスターが作品の返還について売り手と調整を行い、チャッツワース・ハウスはこの5月に出した声明で、返還の合意に達したことを明らかにした。アート・ロス・レジスターのルーシー・オメーラはBBCの取材にこう答えている。 「盗難から長い時間が経ってしまいましたが、この絵を本来あるべき場所であるチャッツワースに戻せたことを嬉しく思っています。このことは、同じように何十年も前に盗まれた絵画の返還を求めている人々に希望を与えるでしょう」 ルーベンスとヴァン・ダイクの二重肖像画は、イギリスのクリッチロー&クッコネン社による修復作業の後、今年5月にチャッツワース・ハウスに戻された。11月にスコットランド国立美術館のロイヤル・スコティッシュ・アカデミーでの展示が予定される中、チャッツワースのキュレーター、チャールズ・ノーブルはBBCにその感慨を語った。 「もう40年以上も前のことでしたから、これだけの時間が経って絵が再び現れるとは夢にも思いませんでした」
ARTnews JAPAN