メトロポリタン美術館、新しい近現代美術ウィングのデザインを発表。完成は2030年予定
ニューヨークのメトロポリタン美術館が、新しい近現代美術ウィングのデザインを発表した。 この新しい「オスカー・L・タンおよびH.M.アグネス・シュウ=タン・ウィング」は、同館の20世紀・21世紀の美術コレクションを展示するために建てられるもの。デザインはメキシコの建築家フリーダ・エスコベドが手がけ、同館154年の歴史のなかで初めて、ウィングのデザインを担当した女性建築家となる。 新しいウィングの完成は2030年を予定しており、展示スペースは現行の約50パーセント増加し、20世紀・21世紀美術の展示に使用されるスペースは7万平方フィート(6500平米以上)となる。 新デザインは、同館の既存の建物の12万3000平方フィート(約1万1400平米)の敷地内に収まるかたちで、1880年に建設された美術館の中心部の高さを超えないように設計されている。エスコベドの設計により、複数のアクセス改善が行われ、来館者が館内をより快適に移動できるようになるという。また、建設過程では4000のジョブが創出され、少なくとも30~40パーセントが少数派および女性所有の企業から提供されることを目指している。 内装では、大小様々な規模の作品を展示できるギャラリースペースが連続的に配置されており、天井の高さは11フィート(約3.35メートル)から22フィート(約6.7メートル)まで変化し、大規模なインスタレーションとより親密なスペースが共存できるようになっている。また、ウィング内には新たに1000平方フィート(約93平米)のカフェも設けられ、来館者が展示を鑑賞した後に休憩できる空間が提供される。 また、屋上からは、セントラルパークやマンハッタンのスカイラインを一年中楽しめるようになり、4階と5階のギャラリーには、南向きの大きな窓が設置され、セントラルパークと都市の景色を取り入れた空間が広がる。さらに、屋外スペースとして4階と5階に合計1万8500平方フィート(約1720平米)のテラスが設けられ、来館者はそこから公園や都市と直接つながることができる。 さらに、新しいウィングの設計は、アクセシビリティと持続可能性の向上も重要な要素となっており、複数の新しいエレベーター、ランプ、入り口が追加され、すべての来館者がアクセスしやすくなるよう配慮されている。また、エネルギー消費の削減にも取り組み、展示スペースの効率的な温度管理が可能となるように設計されている。美術館の周辺の緑地も改善され、セントラルパークの設計原則に基づき、周辺の風景をさらに魅力的に仕上げる予定だという。 メトロポリタン美術館の館長であるマックス・ホレインは、「フリーダ・エスコベドのデザインは、彼女が現代のもっとも重要な建築家のひとりであることを証明するものだ」と述べ、この新しいウィングがメトロポリタン美術館のコレクションを新たなかたちで展示するための重要な役割を果たすことを強調した。この新しいウィングの開設により、同館の現代アートの展示に新たな風を吹き込むことが期待できるだろう。