「ノクターン」を生み出したアイルランドの作曲家、ジョン・フィールド【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
ジョン・フィールド『ノクターン第4番』ほか アイルランドの作曲家ジョン・フィールドの功績とは
今日7月26日は、アイルランドの作曲家、ジョン・フィールド(1782~1837)の誕生日です。 彼の最大の功績は、「ノクターン(夜想曲)」という音楽形式を創始し、1つの音楽ジャンルとして確立したことです。 アイルランドの首都ダブリンに生まれたフィールドは、6歳にしてコンサートを開催するほどの神童ぶりを発揮。11歳のときに家族と共にロンドンに移住して、作曲家・ピアニストとしての活躍を始めます。 その後、師であるクレメンティ(1752~1832)と共にヨーロッパ演奏旅行を行い、ウィーンやパリでも絶賛を博しますが、クレメンティからのひどい仕打ちによって芽生えたフィールドの本質的な「暗さ」が、後に生み出される「ノクターン」の萌芽となったともいわれています。 フィールドがこの世に残した「ノクターン」は18曲とされていますが、正確な数は把握されていません。形式にとらわれない単一楽章のピアノ作品であるこれらの「ノクターン」は、ショパンに大きな影響を与えたことを筆頭に、ロマン派の作曲家たちの作品の先駆けとなったのです。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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