「孤独のグルメ」に通ずる魅力あり? 『もののけしょくどう うらめしや』【絵本レビュー】
nobico編集部員が、おすすめの絵本をご紹介します。 今回は、たにむら のりあきさんの『もののけしょくどう うらめしや』(福音館書店)を、4歳の息子に読み聞かせてみました。 【読本の中を見る】おいしそう?うらめしやの「でんちずし」
身近なものが「もののけ」に
基本的には怖がりな息子なのですが、お友だちの影響か、最近は妖怪などにも興味があるようです。 「うらめしや」と書いてあるけれどあまり怖くなさそう、という理由で、本書を読み聞かせてみました。 タイトルの通り、物語の舞台は、深夜にもののけたちが訪れる食堂、「うらめしや」。 飲み屋のような雰囲気のお店で、壁にぎっしりと貼られたメニューに妙なリアリティがあります。 モデルのお店があったるするのでしょうか? そんな「うらめしや」にやってくるのは、リモコンさんやクッションさんなど、身近な「もの」がモチーフとなった「もののけ」たち。 基本的にみんなどこかかわいらしいのですが、妖怪っぽい不気味さもあり、ちょうどいい塩梅です。 現代的な家電などが、昔から日本にいそうなもののけの姿になっているのも、ギャップがあって面白い。 4歳児は「目がこんなになってる…」とリモコンさんの目を数えたり、興味深々の様子でした。 ちなみに、かっこいいもの好きの4歳児のお気に入りは、目つきがやや鋭い「じゅうたんさん」だそう。 じゅうたんなのに、なんだか強そう……。
おいしそう? 個性の強い料理たち
もののけたちが注文するのは、リモコンさんは「でんちずし」、クッションさんは「わたのハンバーグ」など、個性の強いメニューの数々。 ほかにも、「くつしたのてんぴぼし」「ほこりのほっこりスープ」「タッパーバーガー」などなど、食感や味が想像できないものばかりです。 ぱっと見は結構おいしそうで、特に揚げ物は食欲をそそられる見た目をしているのですが、衣の下は紙飛行機だったり、コロコロクリーナーだったり……とても人間には食べられそうにありません。 頭の中で「おいしそう」と「まずそう」がいったりきたりして混乱します。 4歳児も、ページをめくるたび「これはおいしいの?」とびっくりの様子。 「食べてみたいものはある?」と聞いたところ、「うーん……どれもいらない!」とばっさり。 「リモコンだから、電池をたべてもおいしいんじゃない?」などと冷静なコメントを述べていました。 赤ちゃんの頃はなんでも口に入れていたのに……成長を感じます。