井上尚弥がリングに2人?新殺法でKO防衛に成功。9月にV6戦で米国進出!
WBO世界Sフライ級王者の井上尚弥(24、大橋)が21日、有明コロシアムで、同級2位のリカルド・ロドリゲス(27、米国)を左フックで葬り、3回1分8秒KOで5度目の防衛に成功した。途中、まるでリングに2人の井上が登場したような超攻撃的なスイッチスタイルを披露するなど、進化の一面を披露。9月に米国リングで予定されているV6戦に弾みをつけるには、アピール十分の衝撃勝利となった。試合後、井上尚は、今後バンタム、スーパーバンタムへの転向を視野に入れていることも口にした。黒星をつけられたローマン・ゴンザレスに代わる世界の軽量級のスーパースターに井上尚がのし上がる可能性が見えてきた。
指名挑戦者を遊んだ。まるでストレートのような左ジャブを軸に圧倒しながらの高速コンビネーション。それも、ワンツーから左ボディの3連打のコンビから、ワンツースリーフォーファイブの5連打まで打った。攻撃には、常にカウンターのリスクを負うものだが、これだけのスピードに乗った多彩なコンビネーションブローを浴びせかけると、反撃などできない。 「1ラウンドKOで終わってどうなの?」 大橋会長が1ラウンドが終わると、思わず生中継だったテレビ放映を気にかけたほど。 2ラウンドに入ると、残り1分で練習で取り入れていた右構えから左構えへのスイッチを試す。 「やってみようかなと。ちょっと気持ちの余裕もあったので。1ラウンドが終わって、相性的にちょっとここで試してみようかと思った」 通常のスイッチは、相手の目先を変えたり、ペースやリズムをつかみにくいときに使うものだが、井上尚のそれは、超攻撃的スイッチだった。いきなり左ストレートを叩きこみヒット。ロドリゲスの膝が折れて足が揃った。こんなスイッチ戦法は見たことがない。試合前に大橋会長は、「今回はパワーやスピードだけでなく多彩なテクニックを見てもらいたい」と語っていたが、まるでスタイルの違う2人の井上尚がリング上に登場したような、おそるべき進化の姿だった。 「いい左ストレートで膝も折ったけど、もっと精度を上げていきたい」 フィニッシュは左フック。 「1ラウンドで、ああいう入り方をしてくると分かってた」 右のアッパーから左のダブルフックで一度目のダウンを奪うと、立ち上がった挑戦者に再び左フック。一度は立ち上がろうともがいたロドリゲスは、また尻餅をついて10カウントを聞いた。 「相手を勢いづかせないために狙っていた」。3ラウンドでフィニッシュした。 「下半身を鍛えたことで左フックへの体重の乗りが違っていた」 試合後、ロドリゲスは「井上はいいボクサーでパワフルだった。カウンターもうまい。でも、負けたのは私がガードを下げたという不注意だった」と憮然としていた。