井上尚弥がリングに2人?新殺法でKO防衛に成功。9月にV6戦で米国進出!
セミファイナルで八重樫が1ラウンドでまさかのKO負け。控え室は「まるでお通夜状態だった」と大橋会著は言う。「自分の試合も控えているので考えないようにしてたけど、寸前で八重樫さんがあんな形になると、気持ちも落ちた。気持ちを上げていかないと、自分の試合に集中しないといけない、と考えた」 井上尚はメンタルをコントロールしていた。 この試合は、9月に内定していた米国進出試合に向けてアピールの意味があった。ロドリゲスは、KO負けが一度もない指名挑戦者といえど19戦で16勝(5KO)3敗のキャリアで、これが世界初挑戦。井上尚が苦手とされるゴチャゴチャした接近戦が得意だったが、「勝って当然」の相手だった。 目標にしていたWBC同級王者で無敗のパウンドフォーパウンドのローマン・ゴンザレスが陥落、当初、交渉されていたIBF世界同級王者のジェルウィン・ アンカハス(フィリピン)、WBA世界バンタム級のスーパー王者、ザナト・ザキヤノフ(カザフスタン)との試合も直前でご破算となり、モチベーションをどう保つかを問われる試合でもあった。 メンタル的には難しい条件が重なっていたが、「チャレンジャーの気持ちを忘れないことだと思った。終わってみれば、あのとき気を抜いていたという場面があった。今は勝っているけれど、気持ちが抜けると、崩れることもある。練習からひとつひとつ初心を忘れず気を緩めないこと。それをずっとやってきた」と言う。 敵は我にあった。拳を痛め、腰を痛め、相手よりも減量を克服しながら、どうベストコンディションを作るかが、井上の課題だった。だがこの日は、それらの不安を一蹴した。 「もう拳のことを書くのはやめてくださいよ。井上イコール拳みたいになっているので」 笑いながら、報道陣にそんなお願いを出す余裕まであった。 パワー&技術&メンタルの進化。 「パワーが違ってきている。スイッチも試せたし満点だと思う。どこまで強くなるか楽しみ」 大橋会長も井上尚のV5戦に満点を与えた。 それでも、井上尚は、反省する部分が、まだ残っているという。 「スパーリングと試合では間の取りかたの部分が全然違うんです。ホンの数センチ、数ミリですけど」 この向上心、探究心が、井上尚の進化を支えている。 待望の9月の米国デビュー戦はタイトルのV6戦になる方向。 「あと3カ月しかない。強化するよりケガをしないように体調をコントロールしたい」 メイドインジャパンのモンスターがいよいよ本場のリングに登場する。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)