ヤクルト・奥川恭伸、故郷の子供たちに初の2桁勝利を誓う「今度は僕が石川県を代表して活躍する」
復興の象徴となる。ヤクルト・奥川恭伸投手(23)が8日、石川・七尾市で行われた日本プロ野球選手会主催の復興支援イベント「応援しよう能登! スポーツフェスタ」に参加した。石川・星稜高出身の右腕は、元日の能登半島地震や9月の豪雨で被災した地域の子供たちと交流し「石川県を代表してしっかり活躍し、明るいニュースを届けられたら」と故郷へ恩返しする活躍を約束。具体的な目標として、自身初となる2桁勝利を挙げた。 とびきりの笑みを浮かべながら、奥川はレクリエーションタイムの〝鬼ごっこ〟を楽しんだ。そんな地元のヒーローのハツラツとした姿につられ、続けて白い息を吐いて走る子供たちの笑い声が響く。石川・七尾市の体育館で行われた復興支援イベント。かほく市出身の右腕は、子供たちを勇気付けるように元気に動き回った。 「能登で地震が起きて、僕も東京からでしたけど、心配していました。元気な子供たちの姿が見られてよかった。安心しました、本当に」 今年の元日に故郷の石川県などで能登半島地震が発生した。地元に帰省中だった奥川も被災。津波警報が鳴り、建物を飛び出し、近くの高台まで逃げた。自身も恐怖を体験したからこそ、被災者の心を思いやり「かなり大変な思いをされた方が多いと思う。イベントを通して少しでも元気を届けられたらという思いで来た」と打ち明けた。 地震発生からもうすぐ1年になるが、最大震度6強を観測した七尾市では、今も道路のタイルが崩れたままになっている場所があるなど被害の爪痕が残る。右腕は「(会場に)来るときも思いましたけど、復旧が進んでいない。1年経っても、なかなか大変ですよね」と寄り添った。 「石川に明るいニュースを」と強い思いで臨んだ5年目の今季は、7試合の登板で3勝2敗、防御率2・76。右肘痛などのけがから復帰し、980日ぶりの勝利を挙げたが、完全復活へまだ道半ばである。故郷の子供たち計281人と交流して、来季への思いを強め「これだけたくさんの人に来ていただいて、応援してもらっている。本当に元気をもらっているので、今度は僕が石川県を代表してしっかり活躍する」と約束した。 「目指したい」と狙いを定めたのは、自身初となる2桁勝利だ。日本一に貢献した2年目の2021年は9勝で、あと一歩届かなかった。チームとしても15年以降の10年間で2桁勝利は石川(15年)、小川(15、20、23年)、ブキャナン(18年)のわずか3人。絶対的なエースが不在の状況が続いており、実現すれば3年ぶりのリーグV奪還へプラスになる。