「意見の一致」「多数決」より重要なことは? ビジネスにも当てはまる理想の政治の3条件とルソーの「一般意志」
■ 理想の政治を実現する3つの条件 一方で選挙民側にも問題がある。「忙しい」と言って政治の議論には関わらず、代議士に一任している。選挙に行かない人も多い。実際に投票率は下がる一方だ。ルソーは、こう述べている。 「わたしたちのような近代人は奴隷を所有しないが、諸君自身が奴隷なのだ。わたしたちはみずからの自由を売って、奴隷の自由を買っているのである。そのほうがよいのだと自慢しても空しい。わたしはそこに人間の姿ではなく、卑屈さをみいだすからだ。(中略)人民が代表をもった瞬間から、人民は自由ではなくなる。人民は存在しなくなるのだ」 実に耳が痛い。そこでルソーは、理想の政治(=真の民主政)を実現する3つの条件を挙げている。 非常に小さな国家で、人民がすぐ集会を開くことができ、互いに知り合いになれること 人民の習慣が素朴で、さまざまな議論をせずに多くの事務を処理できること 地位や財産はほぼ平等なこと 改めて考えてみると、日本では人口が少ない都道府県ほど、この条件を満たしている。実際、最近は強いリーダーシップを発揮する都道府県知事が数多く現れている。地方主権は、真の民主主義に近づく一つの方法なのだろう。私たちも、まずは身近な地域の政治に関わるところから始めるべきなのだ。 そして(1)~(3)の条件をより満たしている組織がある。それは、私たちビジネスパーソンが日々接している会社内のチームである。私たちは日々のビジネスで、チームとしての「一般意志」を追求すべきなのである。
永井 孝尚