世界幸福度ランキング1位「フィンランド」の誰もが生きやすい社会作りの背景にあるもの[FRaU]
環境問題、社会保障、教育、テクノロジーの分野で世界トップレベルにある国、フィンランド。森と湖に囲まれたこの国では、自然界と調和をとりながら、誰もが生きやすい社会を実現しています。サステナブルシティと言われる、フィンランドの首都ヘルシンキを訪ねました。
自然との結びつきを大切に 誰もが生きやすい社会を実現
北ヨーロッパに位置し、森と湖の国と呼ばれるフィンランド。よく知られているのが「世界幸福度ランキング」。なんと2023年度も第1位となり、6年連続首位をキープしている。国民は自由で平等であることが尊重され、子育てや医療に手厚い支援がある。誰もが生きやすい社会が人々の幸福度につながっているのは間違いないだろう。 日常生活には“ウェルビーイング”の考えと自然との結びつきがベースにある。フィンランド人に「週末は何する?」と聞けば「森に行く」と返ってくることが多い。オフの日は一日中森を散策する。長期休暇には森や湖畔にあるサマーハウスで過ごす。 フィンランドには自然享受権があり、土地の所有者に迷惑をかけない限り、誰でも森に入ったり、ベリー類やキノコなど自然の恵みを採ったりしてもいい。自然界と調和をとりながら生活し、きれいな水や空気に触れることを大切にしてきた。当たり前にある自然との結びつきが、フィンランド人のアイデンティティを形成してきたとも言える。 だからか、この国が環境問題や気候変動対策においていち早く行動し、ソリューションの面でも世界でトップを走るのは驚くべきことではない。2035年までのカーボンニュートラルの実現など、国がかなり野心的な目標を掲げているのは、日常的に自然に触れ、その尊さを知っているからこそ。今やるべき最優先事項となっている。 写真:ヘルシンキ市内の中心部、マーケット広場と大統領官邸の目の前にあるアッラス・シー・プール。サウナスポットとしても有名で、仕事帰りの会社員から高齢者、家族連れまで多くの市民が通う憩いの場となっている。日常生活にサウナがあるフィンランド人にとって、心身の健康と癒やしは人生でも大切なことだ。