世界幸福度ランキング1位「フィンランド」の誰もが生きやすい社会作りの背景にあるもの[FRaU]
また、授業では、気候変動問題に関する教育に重点が置かれ、ほぼすべての科目で関連課題が出される。
例えば、この日行われていた中学1年に相当するクラスの地理の授業では、世界の環境問題について考えていた。干ばつや飢餓が起きている地域、水害が多発している地域を世界地図で俯瞰する。
生徒たちが自分で情報を見つけることを重視し、インターネット上にある膨大な情報から正しい調査に基づいたデータを探すことを教える。さらに授業を英語で行うことで、地理、語学、環境問題と横断的に学べる授業となっている。その後、自分で考えたことを英語で提出する課題が出された。
指導はソリューション志向のアプローチで、環境問題について不安を煽るのではなく、“自分の意見を持ち、考える”という、学校という教育の場ができる役割を果たしている。
暮らしの中から変えていく 市民参加型のまちづくり
カーボンニュートラルの実現については、企業努力によるところが大きいが、市民レベルでCO2排出量を減らすにはどうしたらよいのかも検討される。そのひとつがエネルギー・ルネッサンス・プログラム。ヘルシンキ市主導のプログラムで民間所有ビルや集合住宅のエネルギー効率を上げ、再生可能エネルギーの使用を増やす。 こちらの写真の集合住宅では住民同士の話し合いのもと、地熱発電に切り替えた。もちろん工事にあたり資金は必要だが、市のプログラムを利用し、助成も得ながら実現。住民に初期投資は求められるが長い目で見ると毎月の電気代は圧倒的に安くなり、何よりカーボンニュートラルへの貢献に繋がる。他にも市内では、ごみを出さないゼロウェイストレストランや新しい形のセカンドハンドショップなど、サステナビリティを意識した店も増え、こういった店を市民が積極的に“選ぶ”ことができる。 写真:CITIZEN × LOCAL GOVERNMENT ENERGY RENAISSANCE PROGRAM/ヘルシンキ市主導のエネルギー・ルネッサンス・プログラムでは、民間所有のビルやマンションなどの集合住宅のエネルギー効率を上げ、再生可能エネルギーの使用を増やすことで、環境に優しい住まいを目指す。自治体が連携することで、意思決定や規制などの法律面でもスムースに進めることができる。