50万円以上の差になることも?公務員の「地域手当」とは
地域手当は、一部の民間企業にもあるようですが、公務員でも支給される場合があります。同様の仕事をしていても地域によって収入に差が出る可能性があり、不公平では?といわれることもあるでしょう。それにもかかわらず地域手当が支給されるのには、それなりの理由があります。 今回は、地域手当が支給される理由や対象地域、地域手当によって年収にどれくらいの差が出ることがあるのかについてご紹介します。 ▼「公務員は安定している」って本当? 定年退職の割合や退職金の平均額を教えて!
公務員の「地域手当」とは?
公務員の地域手当は、おもに都市部や首都圏など、民間賃金の高い地域に勤務する職員に対し支給される手当です。 これにより、同じ仕事をしていても、都市部の方が収入が高くなる可能性があります。隣接する市でも収入に差が出てしまい、不公平に感じられる可能性があるものの、都市部や首都圏などは、ほかの地域と比べ家賃や物価などが高い傾向があり、その支出の差を補填するために支給されています。 ■地域手当の対象地域と支給割合 公務員の地域手当が支給される対象地域と支給割合は、厚生労働省の「国家公務員の地域手当に係る級地区分」によると、表1のようになります。なお、東京都特別区とは、都内にある23区のことです。 表1
※厚生労働省「国家公務員の地域手当に係る級地区分」を基に筆者作成 このように地域手当は、最大で20%付与されるため、地域によって大きな差が生まれることになります。 ■地域手当で年収にどれくらいの差が出るのか 地域手当の有無により、年収に大きな開きが生まれる可能性があります。地域手当は次の計算方法で算出します。 「(俸給+俸給の特別調整額+専門スタッフ職調整手当+扶養手当)の月額×支給割合」 「俸給」とは、正規の勤務時間における勤務に対する報酬のことを指し、さらに特殊な官職に対し支払われる報酬が特別調整額です。特別調整額は、勤労の強度、勤務時間、勤労環境などが考慮されます。専門スタッフ職調整手当も特別な職種につく職員に支給されるため、一般的な公務員は俸給+扶養手当の合計を基に、地域手当が算出されると考えてよいでしょう。 例えば、令和5年一般職の大学卒業者の初任給はおよそ24万3000円です。扶養家族がいない場合、東京都特別区であれば、24万3000円×20%の4万8600円が地域手当として支給されます。1年にして58万3200円となり、地域手当が一切ないエリアに住む人と、60万円近い差が生まれることになります。