シワ、シミ、たるみ…「老け顔」をもたらす元凶は?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください! ●「紫外線と肌の老化」に関する問題 【問題】肌の老化には、加齢によって内側から起こる老化と、紫外線などによって外側から起こる老化があります。このうち紫外線によって起こる老化(光老化)について、間違っている説明は以下のうちどれでしょう? (1)紫外線にさらされる部分に深いシワやシミができる (2)シミは放っておくとどんどん増えて、イボになることもある (3)皮膚がんを引き起こす要因にもなる (4)日焼けすると肌が赤くなるタイプの人は光老化を起こしにくい
正解(間違っている説明)は、(4)日焼けすると肌が赤くなるタイプの人は光老化を起こしにくい(正しくは、「日焼けすると肌が赤くなるタイプの人は光老化を起こしやすい」) です。 ●「老け顔」の元凶の1つは紫外線 肌の老化には、加齢に伴い体の内側の因子から起こる老化(内因性老化)と、体の外側の因子から起こる老化(外因性老化)の2つがあります。外因性老化のうち、紫外線に慢性的にさらされることで起こるものを光老化といいます。 光老化は、紫外線にさらされる顔や手の甲、首元などに、深いシワやシミをはじめとした以下のような症状を引き起こします。紫外線を浴び続けるとシミはどんどん増え、老人性のイボである「脂漏性角化症」に進展することもあります。光老化はさらに、皮膚がんの主要な要因にもなります。 <光老化の特徴的な症状> ・皮膚が黄色から褐色調になる ・シミ、深いシワが増える ・弾力性を失い、たるむ ・光沢を失う ・分厚く硬くなりゴワゴワする ・脂漏性角化症(老人性イボ)ができる ・皮膚がんを引き起こす要因になる 見た目の老化に直結する顔のシミ、シワ、たるみは、光老化が主な要因です。子どものころから紫外線に無防備に肌をさらし続け、ダメージを積み重ねてきた人ほど、中年期以降、「老け顔」に速く進行しやすくなります。しかし「今からしっかりと紫外線対策をし、日常の基本的なスキンケアを行うことで、顔の老化の進行スピードを緩めることは十分に可能です」と、光老化のメカニズムや美容皮膚医療に詳しい近畿大学名誉教授の川田暁氏は話します。 実際、67組の双子の男女(40~87歳)を対象とした日本の研究(*1)でも、日焼け止めやファンデーションを使用しなかった(紫外線により多くさらされていた)ほうの双子は、これらの製品を使用していた(紫外線対策をしていた)双子と比較して、顔のしわのスコアが有意に高いという結果が得られています。 ●美白化粧品、抗シワ化粧品も活用しつつ紫外線対策を 紫外線による光老化から肌を守るためには、日々の生活で紫外線をブロックしつつ、年齢とともに低下する皮膚のバリア機能を、洗顔や保湿により補うことが基本となります。日々の外出や、屋外での作業・スポーツの際は、日傘をさす、広いつばがある帽子をかぶる、長袖・長ズボンを着るなどの工夫で紫外線を浴びる量を減らし、さらに日焼け止め(サンスクリーン剤)を活用するのがお勧めです。 「日常的な使用であればサンスクリーン剤のSPF値は5~20程度あればよいでしょう。屋外スポーツのときは、SPF値は30~50程度にし、海水浴やプールなどでは耐水性の高いものを選びましょう。また、紫外線を浴びると肌が赤くなり、黒くならないタイプの人は、紫外線に対する感受性が高く、光老化のリスクが高い肌タイプなので、SPF値が高めのものを選び、肌を守りましょう」(川田氏) 顔の表皮は薄いため、洗顔の際にごしごしとこするとダメージを与えてしまいます。やさしく洗い、タオルも押さえるようにして水分をふき取りましょう。中高年以降は肌のバリア機能が低下して水分が失われやすいため、男性も洗顔後の保湿を習慣にしましょう。 川田氏によると、紫外線によるシミは、早期であればこれらの紫外線対策とともに美白化粧品(医薬部外品)などを用いることで悪化を防ぐことが期待できます。シワについても同様に、「浅いシワは、日常のセルフケアで乾燥を防ぎ、保湿することによって改善が期待できます。深いシワに対しては、抗シワ成分を配合した化粧品や、美容医療による治療も有効です」と川田氏は話しています。 *1 J Cosmet Dermatol. 2014 Jun;13(2):158-63. ※この記事は、特集「男の『老け顔』を解決!」(柳本操=ライター) を基に作成しました。