HIKAKINらYouTuberを人気職業に押し上げた、UUUM創業者の“アナログ”すぎる仕事術
ゲーテ読者に薦めたいとっておきの1冊をピックアップ! 今回は鎌田和樹著の『名前のない仕事 UUUMで得た全知見』をご紹介。
自分流を貫き通した経営者の素顔と仕事哲学
遊び半分で芸人のネタの相談にのり、その活動をサポートしていたらいつの間にか「放送作家」と呼ばれ始めた経験があるからかもしれない。まるで吸いこまれるように本書に手が伸びた。 まだYouTuberという職業がなかった11年前、HIKAKINらの活動を支える「名前のない仕事」を始め、UUUMを創業から約4年で上場に導いた鎌田和樹氏。彼の仕事術、人間性とはどんなものだろう? 興味をそそられながらページをめくると、面食らった。IT社長という先入観から、ビジネスも人材育成も超合理主義な思考の持ち主かと思いきや、実に人間臭いアナログな人物だったからだ。 終業後はオフィスで社員らと酒を飲み、「所属するYouTuberは仕事だけでなく、人生まで面倒を見る」という強い仲間意識。一方、判断ミスをした部下は納得いくまで問い詰め、大手企業の社長であろうと相手が間違っていると思えば苦言を呈す……。 時の人となった経営者の素顔は、時代の流れを読んだ成功者より、むしろ時代に抗(あらが)い自分流を貫き通した挑戦者という表現が妥当かもしれない。その仕事哲学は、現代のビジネスパーソンが忘れかけている深い学びが溢れている。 『名前のない仕事 UUUMで得た全知見』 鎌田和樹 著 ダイヤモンド社 ¥1,760 桝本壮志/Soushi Masumoto 1975年広島県生まれ。放送作家として数々の人気番組を担当。NSC(タレント養成所・吉本総合芸能学院)の講師も務めており、令和ロマンをはじめ、多くの教え子をM-1に輩出している。