「なんで笑ってるの?」…【池袋暴走事故】の被害者遺族、松永拓也さんが「笑うな」と批判されても笑顔を見せる「深いワケ」
「被害者遺族が笑ったっていいじゃないですか」
2019年4月、東京池袋で乗用車が赤信号を無視し暴走。横断歩道で歩行者らを次々とはね、9人が重軽傷を負い、松永真菜さん(当時31歳)と長女の莉子ちゃん(同3歳)が死亡した。 【マンガ】「一緒にお風呂入ろ」母の再婚相手から性的虐待を受けた女性の「罪悪感」 メディアでたびたび報じられた痛ましい事故は、高齢ドライバー対策を強化した2020年の道路交通法改正のきっかけにもなり、世間の関心を強く集めたといっていい。 事故から5年。最愛の妻と娘を失った松永拓也さん(38歳)は、会社員として働きながら、「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」の副代表理事を務め、交通事故の防止や犯罪被害者支援の講演などに尽力している。 そんな彼は、「被害者遺族が笑ったっていいじゃないですか」と語る。 悲劇に遭遇した自身の辛い体験を世間に伝える松永さんに対して、同情に近い感情を抱く人もきっと少なくないだろう。しかし、彼は「被害者遺族を色眼鏡で見ないでほしい」と話す。 松永さんが考える、被害者遺族の幸せとは――。 前編『「再婚は、してもしなくても…」【池袋暴走事故】の被害者遺族、松永拓也さんが語る「これまでの5年間」と「今後の生き方」』に引き続き、彼の声をお届けする。
事故後にやめた野球を再開
「最近、また草野球を始めたんですよ」 「松永さんって、普段は何をされているんですか?」という記者の質問に対し、彼は笑顔でこう答えた。 「6歳から野球をやっていて、大人になってからも草野球をしていたんです。事故が起きてからは一度やめてしまって。でも、1年くらい前からまた再開しました」 ポジションは昔から外野一筋。本人は「内野ゴロは取れないんです」と笑う。 「小、中学の時に少年野球チームに入っていて、そこのOBが作ったチームに所属しています。チームメイトは20代から30代前半が中心で、もうぶっちぎりのおっさんです(笑)。野球は他のスポーツと違って若くなくてもできますけど、やっぱり最近は少ししんどくなってきました(笑)。もちろん、それでも楽しいですけどね」 普段、メディア越しに見る松永さんの表情は硬いことが多い。交通事故の再発防止を訴える活動や被害者遺族としての意見を求められる機会が多いのだから当然といえば当然なのだが、どうしても「つらい出来事を経験した人」といったイメージが先行し、素の顔が想像しづらいと感じる人もいるはずだ。 「講演やあいの会での活動以外では至って普通の生活をしていますよ。Netflixで『地面師たち』も全話観ましたし、お風呂が好きなので銭湯にも行きます。友人と外で食事もします。 後は、お笑いが好きなんですよ。ハリウッドザコシショウさんやなかやまきんに君さんみたいな、勢いで笑わせてくれる方が好みです(笑)。ラップとかの音楽も好きでよく聴いています」