“協奏曲の革新者”! 個性的すぎる作曲家、アンドレ・ジョリヴェとは【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
ジョリヴェ『オンド・マルトノ協奏曲』 “協奏曲の革命者”が残した摩訶不思議な協奏曲
今日8月8日は、フランスの作曲家、アンドレ・ジョリヴェ(1905~74)の誕生日です。 絵画や文学に演劇など、芸術全般に造形の深いジョリヴェは、音楽に魔術性や呪術性を取り戻そうという、極めて個性的なスタイルを確立した人でした。 その作品は、さまざまな作曲技法を用いた過激な前衛音楽から、親しみやすい音楽までと幅広く、その二面性をして“音楽界のジキルとハイド”などと呼ばれたこともあったようです。 1959年の来日時には、NHK交響楽団を指揮して自作を披露。その際にパチンコにはまってしまい、来日中の殆どの時間をパチンコ屋で過ごしたという物凄い逸話を残しています。帰国後の1970年には、2台のピアノのための『パチンコ』などという曲まで作っているのですからびっくりです。 交響曲、協奏曲、室内楽曲、管弦楽曲など、さまざまな分野に独創的な作品を残したジョリヴェの代表作といえば、『オンド・マルトノ協奏曲』がその筆頭。“協奏曲の革新者”とたたえられたジョリヴェならではの傑作です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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