福島原発事故から10年 小泉・菅元首相が会見(全文1)日本は原発ゼロでもやっていける
農地を使うのは画期的
何か皆さん、びっくりされるかもしれませんが、200年前は、世界中のエネルギーは何で供給されていたかというと、まきとか炭なんですよ。つまりは農村が供給していたわけです。それが石炭になり、石油になり、原発になって。もう1回、今度は農地を使って、そういう再生可能エネルギーが生まれる。ある意味では大変自然なことでありますので、そういう方向に、少なくとも日本は、国土が比較的狭い中では、この農地を使うというのは画期的なことでありますので、そのことをぜひ実現したい。今日はそのことを、ちょっと話をする機会と思ってやってまいりました、以上です。 A:ぜひこちらのご提案のほうも、小泉先生の息子さんにも、ぜひいろいろと伝えていけたらと思います。(英語)。では取りあえず早速、質疑応答に入りたいと思います。
原発廃止に抵抗する人の一番の理由は?
記者:お2人に質問をしたいんですが、日本で原子力、原発をやめることに対しての抵抗はなぜあるのかということなんですけれども。よくいわれる説としましては、例えばあらゆる選択肢を残したいということも、複数の選択肢を残したいということもいわれますし、将来的にはまた核兵器を生産するような選択も残したいということもいわれるんですけれども、何が一番の抵抗の理由になっていますでしょうか。 A:どうぞ。 菅:私は、本質的には、もう抵抗の理由はないと思っています。もちろんかつては、あるいは中曽根さんなどが原発を進められた時代には、日本においても場合によっては核武装ができるような能力は維持したいというのがあったかもしれませんが、現在そこまで考えている政治家は、おられるかもしれませんが、ほとんどいないんではないかと。 今、原発を言ってる勢力は、いわゆる原子力村といわれる人たちですけども、いわば既得権益を守るために言っていると。つまりは、もう今さら新しい原発を造っても、価格が3倍ぐらいになってますから採算が合わないことは分かってる。あるいは使用済み燃料の処理がきちんとできないことも分かってる。しかしそういうものを前提として、あの関西電力の事件でもそうであるように、いろんな利権がもう全部に絡まってるもんですから、そういう構造を維持したいがために原発をまだ使おうという勢力が残っている。そういうふうに私は見ております。 小泉:原発に関わってきた会社、また学者、個人、やっぱり生涯を懸けてこの原発に取り組んできたわけですよね。それをやっぱりなくしたくないという気持ちなんでしょう。いわゆる既得権ね。そういう勢力はかなりありますから。日本の全電源の約30%程度は原発会社が供給していたわけですから。そういう生涯を懸けてやってきたものを離したくないという気持ちがあるんでしょうね。しかしこれ全体、国民の多数はできれば原発なしでやっていこうという考えのほうが多いわけですから、そういうことを考えますと、何か事をやろうとすれば賛成、反対、必ずあるわけです。しかし今、原発をこれからもやっていこうというのは、私は日本国民全体から見れば少数派だと思ってます。民主主義の世の中ですから、いずれは原発をなくしていこうという多数派がさらに多くなって、日本は原発でやっていかないという姿を見せたいという勢力が圧倒的多数になると思ってやっております。